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2026年1月に作成された記事

2026/01/14

独断的映画感想文:サハラ戦車隊(1943)

日記:2026年1月某日
映画「サハラ戦車隊」を見る.19431
1943年.アメリカ.監督:ゾルタン・コルダ.
出演:ハンフリー・ボガート(ジョー・ガン),ブルース・ベネット(ワコ・ホイト),ロイド・ブリッジス(フレッド・クラークソン),レックス・イングラム(タンブル),J・キャロル・ネイシュ(ジュゼッペ),ダン・デュリエ(ジミー・ドイル),クルト・クリューガー(ドイツ空軍士官).19433
第2次大戦の北アフリカ戦線.故障のため本隊から落後したM3戦車の米軍兵士3名は,ようやく故障の修理を終え,本体からの撤退命令を受けガン軍曹の指揮のもと南下することになる.その途上,原隊にはぐれ野戦病院にいたハリディ軍医大尉以下5名の英軍兵士・自由フランス軍兵士を,さらにその先でイタリア兵捕虜ジュゼッペを護送中のスーダン兵タンブルを収容する.一行はドイツ空軍の戦闘機に襲撃され,英軍兵士1名が戦死するが,戦車の機銃が接近してきた戦闘機を撃墜,落下傘降下したクリューガーを捕虜にする.19434
タンブルの案内で井戸のある地点にたどり着くが,そこの水は枯れていた.さらに南下を続ける一行,井戸のある廃村にたどり着く.そこの井戸も枯れているかに見えたが,井戸の底にわずかに滴下する水があり,一行はそこで水を確保するために滞在することになった.一方無線が通じ,トブルクがドイツ軍の手に落ちたことが明らかになる.更にドイツ軍機械化部隊500名が,彼らのあとからやはり水を求めて迫って来ていた.その先遣隊を捉えたガン軍曹は,水と食料を交換するという提案を持たせて独軍兵士を帰らせ,皆と図ってこの廃村で敵を迎え撃つことにし,更に敵から奪った先遣隊のジープでワコを救援要請に走らせた….19435
水におびき寄せられこの廃村攻略を目指す独軍,甚大な被害を与えながら迎え撃つ兵も一人また一人と倒れてゆく.後年の西部劇「アラモ」を思わせるような展開であるが,陽気な米英兵らは不屈のかつ奇想天外の戦いで,独軍を翻弄する.1943年制作の戦意高揚映画でありながら,よくできたプロット,俳優らの好演で優れたエンタテインメント作品となった.
冒頭の「トブルク陥落」という状況は,1942年6月の出来事で(この時点では米軍戦車隊は,実際には北アフリカ戦線に参戦していない),一方ラストシーンでの「エル・アラメインで独軍を止めた」というのは1942年7月から10月の状況と思われ,本作のプロットは1942年後半の事実をもとに作られ,映画は1943年に公開されたと推定される.内容的にも,独軍士官クリューガーは卑怯冷血でスーダン兵を公然と差別する存在と描かれるが,イタリア兵ジュゼッペは市井の人であり,ヒトラーを非難してクリューガーに殺害される.英軍・自由フランス軍兵士はそれぞれ如何にもその国の人らしく描かれ,移民の国アメリカらしい気遣いが見て取れる.19432
1942年から43年と云えば,アメリカはヨーロッパと太平洋で独・日と戦いその勝敗の帰趨はまだ見えていなかった時代,アメリカという国のこういう力はたいしたものだと云わざるを得ない.ハンフリー・ボガートが流石の好演,英軍兵士を演じたロイド・ブリッジスは,ジェフ・ブリッジスの父親だそうだ.
★★★★(★5個が満点).
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2026/01/13

独断的映画感想文:2度目のはなればなれ

日記:2026年1月某日
映画「2度目のはなればなれ」を見る.21_20260113144201
2023年.イギリス.監督:オリバー・パーカー.
出演:マイケル・ケイン(バーナード(バーニー)),グレンダ・ジャクソン(レネ),ダニエル・ヴィタリス(アデル),ヴィクター・オシン(スコット),ウィル・フレッチャー(若き日のバーナード),ローラ・マーカス(若き日のレネ).22_20260113144101
2014年夏.バーニーは愛する妻レネと共に老人施設で暮らす,89歳の海軍退役軍人.この夏開催される,ノルマンジー上陸作戦70周年記念式典への団体ツアーには,申し込みが遅れ参加できなかった.バーニーはレネの勧めもあって,式典に単独で参加することを決意する.
式典の前日,バーニーはひそかに施設を抜け出し,ドーバー海峡をフェリーで渡ってノルマンジーを目指す.フェリーで友人となった空軍退役軍人のアーサーの世話で,ホテルも確保し式典への参加チケットも手に入れた.一方施設では行方不明となったバーニーの捜索を警察に依頼,89才の退役軍人がノルマンジー70周年の式典めざし単独で出発したというニュースは,瞬く間に全英に広まった….23_20260113144201
バーニーはノルマンジーで,自分が参加した作戦地点のソード海岸を目指す.海岸に立ち思い出にふけるバーニー.バーニーには,そしてアーサーには痛切な大戦中の記憶があった.
バーニーはソード海岸を攻撃する強襲艦に乗り組んでいた.知り合いとなった戦車兵のダグラスは怯えきっており,自分の故郷の煙草の缶に恋人への手紙を入れてバーニーに託す.バーニーはダグラスを鼓舞して送り出すが,上陸した戦車はバーニーの目の前で被弾し大破炎上した.一方,アーサーは大陸を空襲する任務に就いており,彼の兄は大陸で負傷しレジスタンスにかくまわれていた.その都市をアーサーの編隊が空襲し,兄は命を落とす.アーサーは,自分が兄を死なせたとのトラウマに苦しんできたのだ.バーニーは強引にアーサーを誘い,共にダグラスとアーサーの兄が眠るバイユーの戦争墓地を訪れる….24_20260113144201
映画は若き日のバーニーとレネがめぐり逢い恋に落ちる過程を織り交ぜながら,バーニーの旅を追ってゆく.バーニーがバイユーの戦争墓地で,「皆無駄死にした!」とつぶやくシーンには涙を禁じ得ない.その前に,バーニー達が,同じソード海岸を守備していた旧ドイツ兵の一団と遭遇し,互いに無言で敬礼し合うシーンも感銘深い.
一方,イギリスに帰ってきたバーニーがとんでもない数の取材陣に翻弄され,ほうほうのていでレネの待つ部屋にたどり着いて,二人で同じベッドにもぐりこむシーンがなかなかにユーモラス.マイケル・ケインとこれが遺作となったグレンダ・ジャクソンの,飄々とした演技が素晴らしい.特にマイケル・ケインは,ユーモアをちりばめた老紳士のたたずまいが何とも好ましい.25
もう残り少ない日々を過ごしている老夫婦の,時に哀しみを帯びつつもユーモアを忘れずに日々を生きていくラストシーンは,忘れ難かった.
★★★★☆(★5個が満点).
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