« 2026年3月 | トップページ | 2026年6月 »

2026年4月に作成された記事

2026/04/16

独断的映画感想文:花まんま

日記:2026年4月某日
映画「花まんま」を見る.
2025年.監督:前田哲.1_20260417175401
出演:鈴木亮平(加藤俊樹),有村架純(加藤フミ子),鈴鹿央士(中沢太郎),ファーストサマーウイカ(三好駒子),安藤玉恵(加藤ゆうこ),オール阪神(三好貞夫),オール巨人(山田社長),田村塁希(俊樹幼少期),小野美音(ふみこ幼少期),六角精児(繁田宏一),キムラ緑子(繁田房枝),酒向芳(繁田仁).2_20260417175401
東大阪に住む俊樹とフミ子の兄妹,両親はすでにない.父は二人が幼い頃事故で亡くなり,母は二人を育て身体を壊し,フミ子が中学生の時に亡くなった.俊樹は両親の言いつけ通りフミ子を育て上げ,いま社会人となったフミ子は結婚も決まった.相手・太郎はカラスと会話できるという大学の研究者,いたって温厚な好青年だ.着々と進む結婚準備,フミ子の引っ越し準備も同時に進んでいる.ところがフミ子には大きな秘密があった.フミ子には繁田喜代美という亡くなった女性の記憶があり,彦根に住む喜代美の父,姉,兄との交流が続いていたのだ….3_20260417175401
6才の時フミ子に繁田喜代美の記憶が蘇った.フミ子は兄に懇願してその彦根の家に連れて行ってもらう.繁田の父・仁は7年前の喜代美の死以来,食事を摂れず苦しんでいたが,フミ子はその父に花びらで弁当をかたちづくった「花まんま」を送る.喜代美がよく作っていたという花まんまを見て,仁はフミ子が喜代美の生まれ変わりであることを確信し,食事を摂れるようになる.しかし俊樹はそれ以上のフミ子と繁田家との交流を禁じて,彦根を後にした.だがそれから22年,結婚の直前になって,フミ子が兄に隠して繁田仁と文通し,また繁田家をしばしば訪れていたことが明らかになる….4_20260417175401
死者の生まれ変わりというエピソードを絡めた,親と子・兄と妹の愛情の物語.兄妹の真情が語られるシーンや,繁田の父とフミ子のシーン,終盤の結婚式のシーンではいやというほど泣かされる.一方大阪が舞台だけあって,関西風のギャグや冗談がテンポよく飛び交い,また太郎がカラスと話して俊樹の危急を助けるというとぼけた活躍もあり,大いに笑わせられる.時々夢に共に出て来て,俊樹を激励したり,時には事情説明(?)したりする両親の幽霊も傑作.演技陣はオール巨人・阪神の師匠たちも含め文句ない活躍,特に田村塁希・小野美音子の両子役は素晴らしかった.映画の最後の着地点もまことに納得のゆく適切なもので,一見の価値ある映画.5_20260417175401
★★★★(★5個が満点).

| コメント (0)

2026/04/15

独断的映画感想文:遠来 トモベのコトバ

日記:2026年4月某日
新宿K's cinemaへ.映画「遠来 トモベのコトバ」を見る.1_20260416210101
2026年.日本.監督:伊勢真一.
出演:友部正人,小野由美子.2_20260416210101
ジョン・レノンが亡くなった頃,友部正人はニューヨークにいた豊田勇造からハガキをもらった.そのハガキがきっかけになって,友部正人は「遠来」という唄を作った.友部自身も,子供が成人したことをきっかけに,妻とともにニューヨークに移り住んだ.ドキュメント映画の監督・伊勢真一は,その友部をニューヨークに訪ねて,その暮らしと友部の唄を撮影した.もう10年ほど前の話だ.この5~6年の世界の変化を見ながら,撮影した映像を今映画にしようと決め(その気持ちは何となく判る),この1年ほどで編集したのがこの映画だと,監督は言う.3_20260416210101
だからこの映画に出ているのは60代半ばの友部正人だ.ギターを抱えて街を歩き,セントラルパークを散歩し,そこで唄う.ワシントン・スクエア・パークに行き,西岡恭三や高田渡らの骨が埋めてあると云う(本当かしら)大きな木の下で唄う.ニューヨーク・シティ・マラソンに参加し走る.その活動に,唄う唄に,友部のいままでのフォーク歌手としての人生が刻み込まれている.5_20260416210101
友部の年を重ねたその声は,唄は勿論詩を朗読するときも魅力的だ.同じ歳の人間として,その魅力には抗し難い.友部が溶け込んでいるニューヨークの街も素敵だ.映画で聞ける曲は,「遠来」,「6月の雨の夜、チルチルミチルは」,「夜は言葉」,「日本に地震があったのに」,「朝の電話」,「一本道」.4_20260416210101
最後の曲は友部の代表曲だが,阿佐ヶ谷を舞台にしたこのフォークの名曲を自分も忘れることはできない.友部正人と自分の,この40年ほどを考えるよすがとなりうる映画.映像も美しく,音響の質も上々.見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点).

| コメント (0)

2026/04/02

独断的映画感想文:海潮音

日記:2026年4月某日
映画「海潮音」を見る.19801
1980年.日本.監督・脚本:橋浦方人.
出演:池部良(宇島理一郎),荻野目慶子(宇島伊代),山口果林(女),泉谷しげる(菊永征夫),浦辺粂子(宇島図世),上月左知子(吉井収子),近藤宏(吉井淳治),野上祐二(五島隆史),烏丸せつこ(吉井さちこ).
荒波の打ち寄せる能登半島の海辺の村.旧家の主:理一郎は,ある朝波打ち際に倒れている若い女を助ける.自宅にあげて介抱するが,回復した女は過去の記憶を失っていた.
理一郎は母:図世,15歳の娘:伊代との3人暮らし,毎日運転手と家政婦の吉井夫妻が,通いでやってくる.女は当面宇島家に逗留することになった.伊代の母は彼女が4歳の時に身体をこわし亡くなった.母の弟で東京から戻ってきた征夫が,伊代の良い話し相手だ.伊代は高校を出たら征夫の様に東京に行ってもう戻ってこないと打ち明けるが,征夫は理一郎も若いころ同じように言ってこの村を出ていったのだと云う.19802
伊代は女に少女らしい心遣いを見せるが,やがて女をめぐって理一郎と征夫は言い争うようになる.ある嵐の夜,理一郎は女と深い仲になった.征夫は独り再び東京に旅立つ.男たちの確執と事態の進展に激しく動揺した伊代は,父の書斎のライフルを持ち出す….
思春期の少女の不安定な心身の動きを,荻野目慶子が躊躇いなく演じ切って存在感あり.ラストシーンで,荒波寄せる突堤を夕陽を浴びて疾走する伊予の姿は,まことに印象的だ.池部良はじめ他の演技陣はやや大人しめ,泉谷しげると烏丸せつこは元気が良かった.19803
★★★☆(★5個が満点).

| コメント (0)

« 2026年3月 | トップページ | 2026年6月 »