独断的映画感想文:やがて海へと届く
日記:2023年9月某日
映画「やがて海へと届く」を見る.
2022年.監督・脚本:中川龍太郎.
出演:岸井ゆきの(湖谷真奈),浜辺美波(卯木すみれ),杉野遥亮(遠野敦),中崎敏(国木田聡一),鶴田真由(卯木志都香),中嶋朋子(伊藤祥栄),新谷ゆづみ(伊藤羽純),光石研(楢原文徳).
真奈とすみれは大学時代からの親友,すみれが母親と折り合いが悪くなった時期,1年以上真奈の部屋に同居したこともある.すみれが同級生の遠野君と同棲した後も交流は続いていた.
ある日すみれはひとり旅行に出たまま行方不明になってしまう.それから5年,真奈はまだすみれの不在を受けとめられない.遠野君が転居をするのですみれの荷物を処分すると言って来る.遠野君は結婚するらしい.遠野君もすみれの母親も,すみれを亡くなったものとして思い定めようとしていることが,真奈には耐えられない.職場の上司・楢原さんが急死したことをきっかけに,真奈はすみれの辿った後を訪ねてみようと旅に出る….
彩瀬まるの同名小説を原作とした喪失と再生の物語.当初は真奈の視点から描かれる映画,真奈は人当たりがよく積極的なすみれにあこがれの感情を持つ.
一方ある時点から映画にはすみれの視線も加わってくる.すみれはすみれで真奈の芯の強さを評価していた.それぞれを演じる岸井ゆきのと浜辺美波の演技が秀逸,終盤の二人が見つめ合う長回しのシーンが印象的だ.エピローグの真奈の独白は,岸井ゆきののアドリブだということも知り,岸井ゆきのの力量には改めて感心.
映画の冒頭と終盤に挿入されるアニメーションも題名に相応しく暗示的だ.パステル調の色彩に溢れたカメラが美しく,音楽も素晴らしい.見て損はなし.★★★★☆(★5個が満点).
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