2018/08/16

独断的映画感想文:タクシー運転手 ~約束は海を越えて~

日記:2018年8月某日
映画「タクシー運転手 ~約束は海を越えて~」を見る.1_2
2017年.監督:チャン・フン.
出演:ソン・ガンホ(キム・マンソプ),トーマス・クレッチマン(ユルゲン・ヒンツペーター(ピーター)),ユ・ヘジン(ファン・テスル),リュ・ジュンヨル(ク・ジェシク).
2_2
1980年5月に起こった韓国の光州抗争事件に際し,その現場を撮影し事件の真相を世界に知らせた記者と,彼を乗せて光州潜入・ソウルへの脱出を実現したタクシー運転手の,実話に基づく映画.
妻を癌で亡くし一人娘と暮らす個人タクシー運転手:キム・マンソプは,貧しいが陽気な男.一方戒厳令撤廃を求める学生・市民と軍との衝突が深刻になっていた光州,軍は光州を包囲封鎖し,通信も遮断して市民が暴徒化したとのニュースを流していた.
3_2
日本に滞在していたドイツ人記者ピーターは,光州の実情を知るべく身分を隠して渡韓.ピーターの「通行禁止期限までに光州に行ったら10万ウォン払う」という話に飛びついたキムは,サウジ出稼ぎで身につけた片言の英語を武器に,ピーターを乗せて光州を目指すが….
物語は光州での惨劇,ピーター等を支援する学生・市民等と軍隊・警察との争闘,ピーター達がフィルムを持って無事光州を脱出できるか,というサスペンスが軸となって進行する.冒頭からのユーモアに満ちた展開と,このハラハラドキドキは,見応えあり.
4_2
他方で,光州市民とキムとの交流・葛藤もよく描かれている.
ピーターを連れて来たものの,厳しい状況に腰の引けているキムに対する光州市のタクシー運転手等の批判や,一旦仲間と認めたあとは二人を自宅に招いて歓待し,脱出時には身体を張ってキム等を支援する彼等の真情は印象的だ.5_3
自分にとっては韓国市民の,まずはぶつかり合い(忖度などということはない),一旦気を許せば情を通わせ合うという特質が,興味深かった.
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:四川のうた

日記:2018年8月某日
映画「四川のうた」を見る.1
2008年.監督:ジャ・ジャンクー.
出演:ジョアン・チェン(シャオホァ),リュイ・リーピン(ダーリー),チャオ・タオ(スーナー),チェン・ジェンビン(ソン・ウェイドン).2
2007年,四川省成都にある420工場は,50年にわたるその歴史を閉じようとしていた.工場の閉鎖式,施設設備の解体撤去,新しい高層マンション群の建設と進む状況を背景に,この工場で働いたり,この工場地区で学び育った人々のインタビューで綴るドキュメンタリー.
本作は420工場の労働者・子弟4人のインタビューと,4人の俳優がそれらの人々を演じて行うインタビューとで構成されている.3
工場創業と文革前後を語る何錫崑,420工場設置の毛沢東の政策を語る関書記,90年代のリストラ状況を語る侯麗君,420工場で生まれ進学後TVキャスターになった趙剛は本人が出演.
一方,工場創設時の異動の旅で一人息子が行方不明になった大麗(ダーリー),80年代の不況下で別れる羽目になった医学生の彼女が,「赤い疑惑」の山口百恵と同じ髪型だったと語る栄衛東(ソン・ウェイドン),80年代に工場に勤め婚期を逃した小花(シャオホァ)こと顧敏華,1982年に工場で生まれ今は上海で高級品のバイヤーをしている蘇娜(スーナー)をそれぞれ俳優が演じてインタビューを行う.4
それぞれのインタビューは印象的で,本人出演の如何にも風雪に耐えてきた労働者という顔貌と語り口も素晴らしい.
一方,リュイ・リーピン,チャオ・タオのインタビューはそれぞれ好演で感銘を受けた.特にジャ・ジャンクー監督の全映画に出演しているチャオ・タオが,廃校となった420工場の学校で父と母を語る映画のラストシーンは素晴らしい.
5_2
途中で流れる「ありがとう あなた」(赤い疑惑主題歌)を始め,挿入される中国歌謡や詩文も趣があり,映画に厚みを与えている.
見応えあり.★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2018/08/12

独断的映画感想文:ドライブイン蒲生

日記:2018年8月某日
映画「ドライブイン蒲生」を見る.1_2
2014年.監督:たむらまさき.
出演:染谷将太(蒲生俊也),黒川芽以(蒲生沙紀),永瀬正敏(蒲生三郎),小林ユウキチ(須田満),猫田直(蒲生しのぶ),平澤宏々路(岸本亜希子),鈴木晋介(パン屋のおじさん),足立智充(沙紀の担任教師).
3_2
寂れきったドライブイン蒲生.店主の蒲生三郎はやくざっぽい駄目親父,店を開けずに昼間っから酒を飲む.
そんな父に激しく反発する姉沙紀はヤンキー,どっちつかずの弟俊也は不良になりきれないグータラ高校生.
彼等の父親との過去の葛藤を,現在の沙紀がDVの夫に決着をつけるため俊也と共に出かける姿と絡めて描くドラマ.2_2
映画の前半は家族それぞれの怠惰で無為な日々が淡々と描かれる.物語が動き出すのは父親の病死から.
父の危篤から葬儀に至る経過での沙紀と俊也の描写から,彼等なりの父への愛情が感じられる.それは現在に戻っていよいよDV夫と決着をつける場面での,沙紀と俊也の行動に繋がっていくのだ.5
沙紀と俊也の人間的成長,父親の受け入れと継承が印象的なラストシーンだった.
黒川芽以・染谷昇太の寡黙で動きの少ない演技が面白い.
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:道

日記:2018年8月某日
映画「」を見る.1
1954年.監督:フェデリコ・フェリーニ.
出演:アンソニー・クイン(Zampano),ジュリエッタ・マシーナ(Gelsomina),リチャード・ベイスハート(Il Matto).
2
貧しい上に頭の足りないジェルソミーナは,母親に1万リラで売られ,芸人ザンパーノと共に旅に出る.
ザンパーノは野獣のような男,ジェルソミーナを強引に妻にするが,彼女にラッパや太鼓を仕込み,ジェルソミーナも懸命に芸を覚える.
しかし,行く先々で金ができると女と酒に入れ込むザンパーノに,自分は何のために生きているのかと涙を流すジェルソミーナ.一時合流したサーカスの一座で,空中ブランコを演じる「キ印」と呼ばれる青年に,「小石一つでもこの世に存在する価値がある」と励まされたジェルソミーナ,しかし「キ印」とザンパーノは折り合いが悪く,遂に或る日悲劇が起こる….3
天使の様に純情でしかし大人の哀しみを背負って人生を歩むジェルソミーナ,野獣のように思いのままに人生を突き進もうというザンパーノ.
この二人がいっとき共に歩いた道が,如何に貴重な日々だったのか.そのことに思い至って夜の海岸で慟哭するザンパーノのシーンは,目に焼き付いて離れない.
4
ニーノ・ロータの音楽が素晴らしい.
スリルもスペクタルもないが,映画とはこういうものだということを存分に味わえる名作,必見です.
★★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2018/08/07

独断的映画感想文:ウインド・リバー

日記:2018年7月某日
映画「ウインド・リバー」を見る.1_3
2017年.監督:テイラー・シェリダン.
出演:ジェレミー・レナー(コリー・ランバート),エリザベス・オルセン(ジェーン・バナー),ジョン・バーンサル(マット),グレアム・グリーン(ベン),ケルシー・アスビル(ナタリー),ギル・バーミンガム(マーティン).
2_3
映画の冒頭,夜の雪原を走っていく女性.やがて力尽きて倒れる.続いて羊を狙う狼の群れを,純白の雪上用迷彩服を着て狙撃・射殺するコリーのシーン.
ワイオミングのネイティブ・アメリカン居留地:ウインド・リバーで働く魚類野生生物局の職員コリーは,牛を襲ったピューマを追跡中,雪原に倒れた女性の遺体を発見する.
3_3
遺体は親友マーティンの娘で,3年前に亡くなったコリーの娘の親友,ナタリーだった.ナタリーの死因は極寒中逃走したための肺損傷によるもの.通報で派遣されてきたFBIの捜査官ジェーンは,コリーに協力を求め,地元警察と共に捜査を進めるが….
コリーの娘もかって行方不明になり,発見された時はコヨーテに食い荒らされて,死因も不明だった.コリーは白人だが,娘の死後別れた妻はネイティブだ.過酷な自然の居留地で繰り返される少女の死は,何故起こるのか.
本作はクライムサスペンスであると同時に,娘を失った父の復讐劇でもある.4_3
犯罪捜査の進行を描く物語は,ワイオミングの自然の厳しさを描くと共に,居留地住民の生活の闇もあぶり出す.コリーはヤク中のナタリーの兄に,「おまえは軍にも大学にも行かずこの道を選んだ」と言う.居留地の若者の選択肢は少ないのだ.
事件は凄まじい銃撃戦で決着が付く(特にコリーによる狙撃は衝撃的だ)が,銃でしか決着をつけられないアメリカ社会もまた大きな闇の中にある.5_3
緊迫感に満ちた映像,ニック・ケイヴとウォーレン・エリスの音楽が素晴らしい.主演のジェレミー・レナー,エリザベス・オルセンの演技も素晴らしかった.見応えある映画.
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:きいろいゾウ

日記:2018年7月某日
映画「きいろいゾウ」を見る.1_2
2012年.監督:廣木隆一.
出演:宮崎あおい(妻利愛子(ツマ)),向井理(武辜歩(ムコ)),濱田龍臣(大地),浅見姫香(洋子),本田望結(幼少時代のツマ),リリー・フランキー(夏目),松原智恵子(セイカ),緒川たまき(緑),柄本明(アレチ).2_2
三重県の農村地帯の一軒家に住むムコとツマ.
ムコは地元の介護施設に勤めながら小説を書いている.ツマは少女のように純粋な女性,動物や草木の語る声を聴くことができる.出会ってすぐに結婚した二人だが,互いに相手の知らない秘密を抱えている.3_2
ツマは子供の頃心臓病のため入院していたが,満月を見ていた時きいろいゾウが現れ,その背に乗って世界中を旅した.その後心臓病は治ったが,月の影響を強く受け,また生きものの語る声が聞こえるようになる.
ムコは背中に美しい鳥のタトゥーを入れているが,それは鳥の絵を書くかっての恋人の原画をもとにしたものだった.ムコのもとにその恋人の夫から手紙が届き,ムコは東京に行く決意をする.そのことに激しく動揺するツマだったが….4_2
寡黙で飄々としているが感情にもろいムコを演じる向井理と,少女の感受性・大人の身体と狂気を備えたツマを演じる宮崎あおいの演技が,それぞれ見応えあるラブファンタジー.
過去を乗り越え大人の夫婦として新たな関係を作り始めるムコとツマ,彼等を囲む3組のカップルが織りなす物語が印象的だ.見て損はなし.
5_2
★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:22年目の告白-私が殺人犯です-

日記:2018年7月某日
映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」を見る.221
2017年.監督:入江悠.
出演:藤原竜也(曾根崎雅人),伊藤英明(牧村航),夏帆(岸美晴),野村周平(小野寺拓巳),石橋杏奈(牧村里香),竜星涼(春日部信司),早乙女太一(戸田丈),平田満(滝幸宏),岩松了(山縣明寛),岩城滉一(橘大祐),仲村トオル(仙堂俊雄).222
1995年の阪神淡路大震災直後,東京で起こった5連続殺人事件.
捜査員・牧村刑事のアパートが爆破され,牧村の先輩・滝刑事が殉職するという最後の事件後犯人は姿を消し,必死の捜査も空しく事件は時効を迎えた.
ところがその後,曾根崎という男が「自分が犯人だ」と名乗って会見を開き,「私が殺人犯です」という告白本の出版を発表する.曾根崎は,被害者のもとを訪れ挑発したり,サイン会を開いたり,TV生出演を求めたりする.223
TVキャスター仙堂は,曾根崎に自分の番組への生出演を求め,曾根崎も了承したが….
出だしから,時効後の思いがけない犯行告白と美しい犯人という衝撃的な展開,被害者遺族の葛藤や,徐々に明らかになる事件の全貌等,丁寧な展開に引き込まれる.
ところが曾根崎の番組出演で強烈などんでん返しが判明するに至って,映画は先が見えなくなる.そして衝撃のラスト.なかなか良く練られたプロットだった.
224
藤原竜也が最近よく演じているサイコパス系の犯罪者,伊藤英明が見るからに体育会系の刑事,と思われるスタート時点の印象が,物語の進行に伴い変わっていく辺りも面白い.
エンタテインメントとして見応え充分.
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

独断的映画感想文:ハクソー・リッジ

日記:2018年7月ぼ日
映画「ハクソー・リッジ」を見る.1
2016年.監督:メル・ギブソン.
出演:アンドリュー・ガーフィールド(デズモンド・ドス),サム・ワーシントン(グローヴァー大尉),ルーク・ブレイシー(スミティ・ライカー),テリーサ・パーマー(ドロシー・シュッテ),ヒューゴ・ウィーヴィング(トム・ドス),レイチェル・グリフィス(バーサ・ドス),ヴィンス・ヴォーン(ハウエル軍曹),ナサニエル・ブゾリック(ハル・ドス),ルーク・ペグラー(ハリウッド).2
デズモンドの父・トムは第1次大戦従軍者,戦争体験のためアル中となり,DVをふるう.デズモンドは非暴力を貫くことを信念とするにいたる.3
第2次大戦勃発後,兄ハルに続き軍に志願したデズモンドは衛生兵を目指すが,小銃訓練を拒否したため軍法会議にかけられることとなる….4
前半はデズモンドが父と恋人・ドロシーの協力で軍法会議を突破するに至る過程,後半は沖縄の激戦地ハクソー・リッジでのデズモンドの苦闘を描く,事実に基づいた映画.
この映画の後半,1時間にわたるハクソー・リッジでの日本軍との激戦は,酸鼻を極めた戦場描写で正視に耐えない.しかし戦争というものは実際こういうものなのだろう.そのことは受け入れざるを得ない.5
映画全体としてメル・ギブソンらしいあくの強い映画,唐突な日本軍指揮官の切腹シーンの挿入と言い,共感は出来なかった.
★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2018/07/14

独断的映画感想文:追憶(2017)

日記:2018年7月某日
映画「追憶」を見る.0
2017年.監督:降旗康男.
出演:岡田准一(四方篤),小栗旬(田所啓太),柄本佑(川端悟),長澤まさみ(四方美那子),木村文乃(田所真理),矢島健一,北見敏之,安田顕,三浦貴大,高橋努,渋川清彦,りりィ,西田尚美,萩尾みどり,安藤サクラ(仁科涼子),吉岡秀隆(山形光男).1
或る日,富山の漁港で男性の刺殺死体が発見される.
被害者は川端悟,前日に市内の土建業者・田所啓太と金銭の授受があったことが判明する.担当した刑事四方篤と悟・啓太は幼馴染みであった.
25年前の富山,篤・啓太・悟の3人はそれぞれ親に捨てられ,喫茶「ゆきわり草」を営む仁科涼子に引き取られ世話になっていた.しかしこの年のクリスマスの日,ある出来事が起こり,3人は2度と互いに会わない約束をして散り散りになった.やはり事件前日,偶然悟と出会って飲んでいた篤は,啓太を訪ねるが….2
クリント・イーストウッドの「ミスティック・リバー」と似た感じの物語だが,本作は期待はずれ.
まず冒頭の富山の冬のシーン,ロケではなくCGのようだが出来が良くない.登場人物の吐く息も白くならず,現実感に欠ける映像である.
物語の展開にも緊張感がない.焦点は,過去の出来事を巡って悟が啓太をゆすり,啓太が悟を殺したのではという可能性なのだが,その謎が深まらないまま捜査は唐突に結論が出て終了してしまう.4_2
全体的にじっくりした描写がないまま映画は終わってしまったという感じ.豪華な配役だが,小栗旬,長澤まさみ,安藤サクラが好演していた以外は特に印象に残らなかった.5
見応えなし.★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

2018/06/23

独断的映画感想文:ダンケルク

日記:2018年6月某日
映画「ダンケルク」見る.1
2017年.監督:クリストファー・ノーラン.音楽:ハンス・ジマー.
出演:フィオン・ホワイトヘッド(トミー),トム・グリン=カーニー(ピーター),ジャック・ロウデン(コリンズ),ハリー・スタイルズ(アレックス),アナイリン・バーナード(ギブソン),ジェームズ・ダーシー(ウィナント大佐),バリー・キオガン(ジョージ),ケネス・ブラナー(ボルトン中佐),キリアン・マーフィ(謎の英国兵),マーク・ライランス(ミスター・ドーソン),トム・ハーディ(ファリアー).2
映画の冒頭,ドイツ軍の降伏勧告ビラが舞う市街を駆け抜ける英軍兵士トミー.僚友はことごとく撃たれ,銃も鉄兜も失って命からがら友軍の拠点に転げ込む.その先はダンケルクの海岸,救出を待つ兵士の長い長い列が砂浜を覆い尽くす.
イギリスでは海軍の徴集に応じ,ドーソンの艇を含む多数の民間小型船舶が,ダンケルクに向け救出のため出港する.4
英空軍のスピットファイア3機編隊は作戦のため大陸に向け飛行中,独空軍メッサーシュミットと交戦,更に撤収作戦中の英艦船を襲う独爆撃機を撃墜する.5
この3つのエピソードがトミーの件が1週間,ドーソン艇の件は1日間,空軍の件は1時間の時間軸で同時進行するが,クライマックスで全てのエピソードは収斂する….
史実に基づいたダンケルク撤退作戦を描いた映画だが,上記のように3つの異なる時間軸を編集した描写である.更に登場するのは撤収する側の英軍兵士と艦船・航空機であり,独軍兵士は一切描かれない(描写されるのは独軍航空機と魚雷の航跡,飛来する銃弾のみ).この映画は,英軍のダンケルク撤収作戦の成功を描いた,一種の戦争叙事詩というべきであろう.6
映画としての緊張感は高い.トミー達がようやく英駆逐艦に収容され,看護婦に迎えられ紅茶とジャムパンを振る舞われた次の瞬間,Uボートの魚雷に撃沈される船内のシーン.敗残兵として辛くも生還し,英市民の罵倒を覚悟していたトミー等が,市民の暖かい歓待を受けるシーン.いずれも印象的だ.
同じ監督の「インターステラー」で素晴らしかったハンス・ジマーの音楽がやはり素敵.
戦史ものとして期待すると肩すかしだが,見応えある映画.
★★★☆(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ

| コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧