独断的映画感想文:旅と日々
日記:2025年11月某日
映画「旅と日々」を見る.
2025年,日本.監督・脚本:三宅唱,原作:つげ義春(「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」).
出演:シム・ウンギョン(李),河合優実(渚),高田万作(「夏男」),堤真一(べん造),斉藤陽一郎,松浦慎一郎,足立智充,梅舟惟永,佐野史郎.
アパートの一室で脚本家・(李)が眉間にしわを寄せながら脚本を書いている.その脚本通りの画面が展開し始め,海辺の町で渚と夏男が出会う.いつしか言葉を交わすようになった二人,翌日も会おうということになったが翌日は大時化,しかし土砂降りの大波が寄せる海で二人は泳ぎ始める.
という映画が終わって監督と二人,上映会の質疑応答に臨む李.その後恩師の教授が急逝し,失意のうちに当てのない旅に出る.その旅で泊まる羽目になった宿は,やる気のない主人:べん造が一人いるだけの雪に潰されそうな民家.べん造と二人でいろりの横に布団を敷いて寝ることになるが….
前半の映画(海辺の叙景)は,全体から云えば劇中映画ということになる.どういう設定かもどういう登場人物かも判らないが,河合優実(とそのビキニスタイル)の存在感が圧倒的.渚の指示通りに荒海を次第に沖に向かって泳ぎ続ける夏男のシーンはスリリングだ.
後半は李の一人旅,何もない宿の主人との二人暮らしが気に入ったのか,李は連泊しべん造との会話が続く.べん造がなかなかツボを突いた質問をしたり,その作る料理が下手くそだったり,李のストレスがほどけていって畳に寝ながらひくひく笑っていたりするシーンが面白い.やがてある事件が起こって二人はともに婦警さんに油を搾られることになるのだが,この場面も傑作.
つげ義春の原作らしい,緩いけれどどこか本質的なところのある物語展開が生かされている.もの静かだが豊か,真面目だがユーモラスな映画.劇中映画から本筋のシーンへ移行していく場面の映像処理なども印象的.
★★★★(★5個が満点).
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