2019/08/13

独断的映画感想文:ニッポニアニッポン フクシマ狂詩曲(ラプソディ)

日記:2019年8月某日
ユジク阿佐谷で映画「ニッポニアニッポン フクシマ狂詩曲(ラプソディ)」を見る.0_20190815171201
2019年.監督:才谷遼.
出演:隆大介,寺田農,デコウトミリ,宝田明,慶徳優菜,柳沢なな,関口晴雄,伊嵜充則,飯田孝男,原知佐子,田村奈巳,桜井浩子,外波山文明,山谷初男.2_20190815171201
3.11から8年経った春.会津若松市役所職員・楠穀平は,原発に隣接する楢穂町役場の特別震災広報課に出向を命じられる.着任した楠は,助役・村井の案内で震災の後や原発事故後の村の様子を視察して廻る.
一方,看護師として小児病棟に勤める楠の娘ハルカは,見えない相手との会話を続ける男の子が気になっている.楠は,村井から近々開催される「原子力研究所副所長就任を祝う会」を成功させるよう指示されるが,その祝う会の大宴会はとんでもない騒ぎとなる….
映画はミュージカル仕立て,合間にアニメ小品が挿入されつつ進行する.4_20190815171201
視察して廻る楠の前には,村の放射能汚染を訴える住民や,シジミチョウの奇形頻度を調べて被爆が世代を超えて遺伝すると主張する学者が現れる一方,震災で滅びた村の祭りの幻影や,挙げ句には村から出征してシベリア抑留で死んだ兵士3人組の亡霊が現れたりする.これらの映像や楠の娘達の近況,突如挿入されるアニメが,脈絡のないスラップスティックコメディとして延々と続くが,特に最後の大宴会のシーンは狂騒的で迫力あり.1_20190815171201
映像を通じて監督が言いたいことは良く分かる.それがストレートに出た大宴会シーンには感動もした.しかし映画の出来全体には共感できない.だいたい自分はミュージカルが嫌いだ.
但し,中盤で楠とハルカが交互に歌う沖縄民謡風のバラードは美しかった.3_20190815171201
ニッポニア・ニッポンはご承知の通り絶滅したニホントキの学名である.なお,本作のトキのアニメキャラクターは,のん(能年玲奈)が作成している.★★★(★5個が満点)
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2019/07/28

独断的映画感想文:新聞記者

日記:2019年7月某日
UPLINK吉祥寺で映画「新聞記者」を見る.1_20190728203501
2019年.監督:藤井道人.製作:河村光庸.
出演:シム・ウンギョン(吉岡エリカ),松坂桃李(杉原拓海),本田翼(杉原奈津実),岡山天音(倉持大輔),郭智博(関戸保),長田成哉(河合真人),宮野陽名(神崎千佳),高橋努(都築亮一),西田尚美(神崎伸子),高橋和也(神崎俊尚),北村有起哉(陣野和正),田中哲司(多田智也).3_20190728203401
韓国人の母と日本人の父の間に生まれ,アメリカで育った東都新聞記者:吉岡エリカ.父も新聞記者だったが,誤報の責任を取って自殺したとされている.
新聞社に送られてきた匿名の資料は,特区制度を利用して内閣府主導で医療大学を作るという計画.エリカはキャップの陣野の指示で取材を開始する.2_20190728203401
一方内閣調査室に勤める杉原拓海は,外務省出身.上司・神崎は公文書改竄の責任を負って左遷,部下の杉原も内調に異動となった.日々の仕事は,政府に都合の悪い案件へのフェイク情報の素材を作製したり,それをSNS上に流したりする汚れ仕事.
杉原が久しぶりに神崎の誘いで会食した直後,神崎は自殺する.神崎が匿名資料の送り主ではないかとみていたエリカは,葬儀の会場で杉原と出会うが….
東京新聞の望月記者の著作を原案とした映画,原著作は未読.4_20190728203401
キャッチには「内閣官房VS女性記者」「官邸とメディアの裏側を描く」などとあるが,実際には政権の動きは描かれず,その意を酌んだ内調と新聞記者の闘いが主題である.
資料の送り主が誰かという謎解きや,杉原の協力を得て最新資料を取得する場面のサスペンス,自身のキャリアや家族という弱点を突かれ個々に潰されていく官僚の悲哀等は,それなりに見応えあり.
主演の二人は好演,脇を固めた北村有起哉,田中哲司等も良い.エンディングテーマのの「Where have you gone」も美しかった.5_20190728203401
しかし政権への批判的切り口としては,内調レベルの物語ではいささか物足りない.むしろ半世紀程昔の事件でも良いから,(アメリカで)公開された資料に基づき実名を挙げた政治ドラマをしっかり製作した方が,面白いのではないか.
★★★☆(★5個が満点)

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2019/07/10

独断的映画感想文:カメラを止めるな

日記:2019年7月某日
映画「カメラを止めるな」を見る.
2017年.監督・脚本:上田慎一郎.1_20190710220501
出演:濱津隆之(日暮隆之),真魚(日暮真央),しゅはまはるみ(日暮晴美),長屋和彰(神谷和明),秋山ゆずき(松本逢花).
映画の冒頭から始まる37分間のノンストップノーカットの映像.山奥の廃墟でゾンビ映画を撮っている撮影隊,撮影中本物のゾンビが現れてスタッフは次々にゾンビ化,現場は大混乱に陥るが,監督は本当の映像が撮れるとばかりに撮影を続行する.やがて殆どのスタッフが死に絶え,呪いの五芒星の中央で立ちすくむヒロインの姿で映像は終わる….3_20190710220501
この後から始まる1ヶ月前の出来事,日暮は「早い,安い,そこそこ」を売りとする映像作家.新しく立ち上がったゾンビ専門チャンネルから,開局記念にノーカット生放送のゾンビドラマの作成を依頼される.この無茶苦茶な依頼を引き受けた日暮だが,集まってきたのは癖のあるキャスト・スタッフばかり,元女優の妻・監督志望の娘が心配するなか,遂に撮影当日が来る….2_20190710220501
この映画はゾンビ映画の形態を取っているが,実際はミステリーである.
3部構成となっていて,第1部最初の37分間はミステリで言えば「犯罪」の提示である.第2部は展開部で,登場人物それぞれの紹介がここで行われる.第3部は放映当日の現場の状況を描く映像で,第1部で提示された「犯罪」の解決編にあたる.
即ち,第1部で示されたいささか変な構成や違和感ある展開と,全体としてはB級映画のチープ感あふれる映像が,第3部ではどのようなスタッフの離れ業で提供されたかが明らかにされる.
この様に観客の期待を裏切る映画も希有であろう.5_20190710220501
つまりチープなB級作品と思えた映像は,最終的には提示された伏線を全て解決し,しかも映画というものの本来の魅力を観客の心にしっかり焼き付けるからだ.大笑いしながら解決編を見ていた観客は,ラストシーンで折り重なったキャスト・スタッフの一群のシーンを見たとき,大きな感動を覚えるであろう.4_20190710220501
映画への熱い想いを共有できるという点でも希有な映画,一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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2019/07/05

独断的映画感想文:ミッション:インポッシブル/フォールアウト

日記:2019年7月某日
映画「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」を見る.1_20190709164401
2018年.監督:クリストファー・マッカリー.
出演:トム・クルーズ(イーサン・ハント),ヘンリー・カヴィル(オーガスト・ウォーカー),ヴィング・レイムス(ルーサー・スティッケル),サイモン・ペッグ(ベンジー・ダン),レベッカ・ファーガソン(イルサ・ファウスト),ショーン・ハリス(ソロモン・レーン),アンジェラ・バセット(エリカ・スローン),ヴァネッサ・カービー(ホワイト・ウィドウ),ミシェル・モナハン(ジュリア),アレック・ボールドウィン(アラン・ハンリー),ウェス・ベントリー(パトリック),フレデリック・シュミット(ゾラ).2_20190709164401
人気シリーズの第6作.
愛妻ジュリアとの結婚式に犯罪組織「シンジケート」のボス:レーンが現れる悪夢から目覚めたIMFエージェントのイーサン・ハント,盗まれた3個のプルトニウム爆弾奪回のためベルリンに飛ぶ.マフィアからこの爆弾を買い取る受け渡し現場で,「シンジケート」の残党アポストルに襲われたハントは,同僚ルーサーを救っている間に爆弾を奪われてしまう.
IMFに不信感を持ったCIA長官は介入し,部下のウォーカーにハントと共同行動を取るように命じる.2人はパリのパーティー会場で謎の男ラークがホワイト・ウィドウと名乗るブローカーから爆弾を買い取るとの情報を得,その会場に潜入,ラークを補足するが逆襲される.間一髪MI6のルイサがハントを救うが,ラークは射殺される.5_20190709164401
止むなくラークになりすましたハントはウィドウと接触し契約に成功,手付けに爆弾1個を回収するが,あと2個の引き渡しは捕縛されているレーンを脱獄させることが条件となる.ハントは奇策を使って誰も殺さずにレーンの奪取に成功するが,合流してきたIMF長官ハンリーから,CIAはハントこそがジョン・ラークであると疑い証拠も掴んでいるという話を聞く….3_20190709164401
アクションに次ぐアクション,謀略に次ぐ謀略,どんでん返しの連続と,147分の長尺終わる頃には最初のエピソードはもう飛んでいる.
後から考えるとこのエピソードは伏線として生きていないんじゃないかとか,何故このアクションをする必然があったのかとかいう話だらけだが,映画見ている間はもう夢中,そんなことに気付くどころじゃありません.最後までトム・クルーズに持って行かれます.とにかく映画とアクションに賭けるトム・クルーズの執念にはひれ伏すしかない.
でも脚本はもうちょっと整理できなかったかな.最後には誰が敵か味方かすら分からなくなった.エピローグでのジュリアとルイサのエピソードが良かったけど.7_20190709164401 6_20190709164401
★★★☆(★5個が満点).
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2019/06/25

独断的映画感想文:友罪

日記:2019年6月25日
映画「友罪」を見る.
2018年.監督・脚本:瀬々敬久.0_20190626215401
1_20190626215401
出演:益田純一(生田斗真),鈴木秀人 / 青柳健太郎(瑛太),藤沢美代子(夏帆),杉本清美(山本美月),白石弥生(富田靖子),清水(奥野瑛太),内海(飯田芳),川島社長(小市慢太郎),村上院長(矢島健一),バーテン・小杉(青木崇高),唐木達也(忍成修吾),山内智子(西田尚美),飯島武士(村上淳),飯島麻奈美(片岡礼子),山内正人(石田法嗣),千尋(北浦愛),桜井さちこ(坂井真紀),須藤編集長(古舘寛治),白石唯(蒔田彩珠),篠塚朝子(渡辺真起子),篠塚(光石研(特別出演)),山内修司(佐藤浩市).2_20190626215401
埼玉県のとある町工場,鈴木と益田が見習採用される.二人とも先輩の清水と内海の住む独身寮に住むことになる.
益田は工場勤務は初めて,元は週刊誌の記者だった.鈴木は資格も持ち工場勤めには馴れている風だったが,殆ど誰とも話さず心も開かない.折りしも近くの街で小学生が殺される事件が起こる.ネットには,犯人はかって小学生連続殺人事件を起こした青柳ではないかとの噂が載り,益田は元妻で週刊誌記者の清美からその情報を得る.3_20190626215401
益田はかって自身が担当した青柳の事件の資料から,青柳は鈴木ではないかとの疑いを抱く.一方鈴木は,男に絡まれていた美代子を助け,付き合うようになる.同じ街のタクシー運転手・山内は,息子がかって無免許運転で3人を死亡させる事故を起こした事件の重荷を背負って生きている.かって少年院で青柳を担当していた白石弥生は,退院以来行方が分からなかった青柳から,会いたいとの連絡を受ける….
益田,鈴木(青柳),美代子,山内,白石がそれぞれ抱える問題を交錯させながら,贖罪・更正・家族というキーワードに沿って展開する群像劇.シリアスなテーマを扱っている力作,緊張感高く間断することのない展開は見応え充分.
但し群像劇としてはバランスが偏っていて,白石弥生と娘のエピソードは全体のテーマに沿ってはいるが蛇足の感を免れ得ない.またエピローグで各エピソードがそれなりの落着となる予兆が示されるが,それまでの悲惨で救いのない物語は,なかなか辛いものがある.4_20190626215401
俳優では瑛太がこの人にしかできない怪演,生田斗真も熱演している.脇を固める俳優達もベテラン揃いで,安心してドラマを追うことができる.
★★★☆(★5個が満点)
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2019/06/18

独断的映画感想文:ちはやふる 結び

日記:2019年6月某日
映画「ちはやふる 結び」を見る.1_20190625115901
2018年.監督:小泉徳宏.
出演:広瀬すず(綾瀬千早),野村周平(真島太一),真剣佑(綿谷新),上白石萌音(大江奏),矢本悠馬(西田優征),森永悠希(駒野勉),清水尋也(須藤暁人),優希美青(花野菫),佐野勇斗(筑波秋博),清原果耶(我妻伊織),松岡茉優(若宮詩暢),賀来賢人(周防久志),松田美由紀(宮内妙子),國村隼(原田秀雄).4_20190625115901
瑞澤高校カルタ部は強豪校ながら部員は高3のみ,千早,太一等は新入生獲得に奔走する.しかし入部した筑波は実力ありながら人と折り合えない性格,菫は周平に憧れただけの経験ゼロ.
新入生指導に悪戦苦闘しながら辛くも都大会を突破した瑞澤高校.しかし太一は進学のため部を辞める.一方太一,千早の幼馴染み新は,千早達と戦うべくカルタ部を立ち上げ,全国大会に乗り込んできた.太一を魅了する名人・周防と最年少クィーン・詩暢も絡みながら始まる全国大会….5_20190625115901
カルタという分野の部活青春映画.部活青春映画は侮れない.3_20190625115901
しかも汗臭い男子だらけの野球なんぞと違って,カルタ部は男女混合.幼馴染み,高校,カルタ部,闘い,恋心というキーワードが映画を飛び交って,目が眩むようだ.原作が良く出来ているのだろうが,百人一首に関する知識の注入や,カルタ競技の紹介,カルタ部の練習風景等がバランス良く描かれ,その中で進行する千早達のドラマが程よい緊張感で進行する.
最終局面,全国大会での戦いの結末には感動した.エンタテインメントとして上質な映画,俳優では広瀬すず,松岡茉優が素晴らしい.2_20190625115901
★★★☆(★5個が満点)
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2019/06/11

独断的映画感想文:誰もがそれを知っている

日記:2019年6月某日
ヒューマントラストシネマ有楽町で映画「誰もがそれを知っている」を見る.1_20
2018年.監督:アスガー・ファルハディ.
出演:ハビエル・バルデム(パコ),ペネロペ・クルス(ラウラ),リカルド・ダリン(アレハンドロ),エドゥアルド・フェルナンデス(フェルナンド),バルバラ・レニー(ベア),インマ・クエスタ(アナ),エルビラ・ミンゲス(マリアナ),ラモン・バレア(アントニオ),カルラ・カンプラ(イレーネ),サラ・サラモ(ロシオ).4_17
妹アナの結婚式に,アルゼンチンに住んでいる姉ラウラが娘・イレーネ,その弟・ディアゴと共にスペインの実家に帰ってくる.かっての恋人パコと再会するが,パコはラウラから買い取った土地を立派なワイン農場に育て上げ,美しい妻と共に暮らしている.
結婚式の晩,16歳のイレーネは奔放にはしゃぎ廻っていたが,急に眠くなったと言って寝室で休むことに.その後雨の中停電が起こるが,パコが自家発電装置を担ぎ込んで披露宴は無事終わる.ところがそのさなかにイレーネは寝室から忽然と姿を消す.更にラウラの携帯に犯人からの脅迫が届き,ベッドには近年の少女誘拐殺人事件の切り抜きが置かれていた.6_8
ラウラは警察に通報する決断がつかず,アルゼンチンから急遽夫・アレハンドロがやって来る.犯人からは続いて巨額の身代金の要求が届く.パコは時間稼ぎのため,自身の農場を売る商談を共同経営者に持ちかけるが,ラウラは現実にパコ以外に金を出せる者はいない状況に,ある決意をする….5_13  
思いがけない誘拐事件に直面した家族の状況.
父アントニオは博打で失敗し,土地をかっての使用人に売る羽目になったらしい.パコも元来はアントニオの使用人の息子だった.兄フェルナンドは店を開いているが,ローンを抱えて苦しい家計.アレハンドロは実業家と称しているが,この2年間失業している.何故同じ部屋にいた幼児ディアゴではなく,イレーネが誘拐されたのか.映画はこの様な事情を次々に明らかにし,物語は重苦しい緊張感の中進行する.3_17  
俳優はいずれも良いが,ハビエル・バルデム,ペネロペ・クルス,リカルド・ダリンの3名が圧倒的な存在感.ハビエル・バルデムは思わぬ運命に直面した男の苦悩を淡々と演じる.映画の題名は,登場人物の最大の秘密を,当事者以外のみんなが知っているという皮肉な状況を指している.ラストシーンで,かすかに微笑んで横たわるパコのシーンが印象的だ.
映像も美しい重厚なドラマ,一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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2019/06/07

独断的映画感想文:ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男

日記:2019年6月某日
映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」を見る.1_19
2017年.監督:ジョー・ライト.
出演:ゲイリー・オールドマン(ウィンストン・チャーチル),クリスティン・スコット・トーマス(クレメンティーン・チャーチル),リリー・ジェームズ(エリザベス・レイトン),スティーヴン・ディレイン(ハリファックス子爵),ロナルド・ピックアップ(ネヴィル・チェンバレン),ベン・メンデルソーン(国王ジョージ6世).3_16
多少ネタバレがあります,注意.
1940年5月10日,ナチスドイツに対する北欧での闘いで劣勢となり支持を失った英首相・チェンバレンは,後任の首相にチャーチルを指名する.チャーチルは労働党も参加する5名からなる戦時内閣を組織,しかし保守党から参加のチェンバレン,ハリファクスはいずれも,対独徹底抗戦を主張するチャーチルに反対していた.
この日ドイツはオランダ・ベルギーに侵攻,ついでフランス国境を突破する.チャーチルは国会とラジオ演説で,対仏支援を行い勝利を目指すことを強調するが,日を追って戦況は悪化,フランス派遣の英国部隊40万はダンケルクに追い詰められる.チャーチルはダンケルクを支援するため,カレーの守備隊4000人に徹底抗戦を命令すると同時に,ダンケルクの将兵の撤退を模索するが,ドイツ制空権下の救出作戦の目途は立たない.2_18
ここに至ってドイツの英国侵攻の怖れが強まり,国王のカナダ亡命が計画される事態となる.ハリファクスは対独和平交渉の採用をチャーチルに迫り,遂にチャーチルはハリファクスに交渉仲介国イタリアとの接触を認めるが….4_16  
1940年5月9日から5月27日に至る,チャーチルの活動を追った伝記ドラマ.英国とチャーチルがぎりぎりまで追い詰められたこの時(原題はDARKEST HOUR),チャーチルが如何に勇気を奮い起こし自信を回復することができたか,を記述する.
チャーチルを演じたゲイリー・オールドマンが素晴らしい.辻一弘がアカデミー賞を獲得した特殊メイクで全く相貌の変わったオールドマンが,チャーチルの変転する心理を演じて見応えあり.またチャーチルを叱咤激励する夫人・クレメンティンを演じたクリスティン・スコット・トーマスも存在感があって素敵.5_12
チャーチルの矛盾に満ちた人物像は面白いが,彼が地下鉄で人々と意見を交わすという筋書は,いささか嘘くさかった.但し,戦時内閣で孤立したチャーチルが,閣外閣僚と議会を相手に熱弁をふるい圧倒的支持を獲得するラストシーンは迫力あり.見て損はない.
★★★★(★5個が満点)
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2019/06/04

独断的映画感想文:主戦場

日記:2019年6月某日
渋谷のシアター・イメージフォーラムで映画「主戦場」を見る.1_18

2018年.監督・製作・脚本・撮影・編集・ナレーション:ミキ・デザキ.製作:モモコ・ハタ.音楽:マサタカ・オダカ.
ユーチューバー出身の監督が,日韓のみならずアメリカをも巻き込んで進む慰安婦問題の論争を描く,長編ドキュメンタリー.登場人物は日本の右派・左派(こういう言い方は好きではないが,この映画の扱いに沿って便宜的にこう呼ぶ)の各論客・運動家・元日本軍兵士,韓国の元慰安婦の娘・支援者・学者,アメリカの元慰安婦支援者・その反対派等々.
こういう人々へのインタビューと街頭インタビューやニュース映像,新聞や公文書のコピーが軽快なテンポで次々に画面に映し出される.映画は監督が当初抱いた疑問に沿って,元在特会の山本優美子氏のインタビューからスタート,その主張の展開や反対派側からの反論という具合に,次はそこが知りたいというポイントが小気味良く映像として現れる.
監督は最終的にはこの問題が,安倍政権とその背後にある日本会議に関わることを示唆して映画を終え,自身の懸念するところを明らかにする.そういう意味ではこの映画は「公平な立場」という立ち位置にないことはあきらかだ.3_15

この映画については,5月30日に右派論客7名(櫻井よしこ氏,ケント・ギルバート氏,トニー・マラーノ氏,加瀬英明氏,山本優美子氏,藤岡信勝氏,藤木俊一氏)が抗議声明を出すといった「場外乱闘」の状況が発生しているが,右派論客の主張のみが揶揄されたり切り取りされたりといった印象は基本的にない.4_15
慰安婦問題は重大な問題であると同時に,極めて政治的であり,感情を伴うものであり,倫理と差別とに関わる問題である.そのことはこの映画のインタビューを通じ自ずから明らかになる.この映画の魅力は,そういう力を持ったドキュメントであることに尽きるであろう.単調だが力強い音楽も素晴らしい.ドキュメント映画として充分な見応えあり. 
★★★★(★5個が満点).
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2019/05/25

独断的映画感想文:のみとり侍

日記:2019年5月某日
映画「のみとり侍」を見る.1_17
2018年.監督:鶴橋康夫.
出演:阿部寛(小林寛之進),寺島しのぶ(おみね/千鶴),豊川悦司(清兵衛),斎藤工(佐伯友之介),前田敦子(おちえ),風間杜夫(甚兵衛),大竹しのぶ(お鈴),松重豊(牧野備前守忠精),桂文枝(田沼意次).2_16
徳川家治の治世,田沼意次が老中を務めた時代.長岡藩の勘定方吟味役・寛之進は,和歌の会で藩主・牧野備前守忠精の作が良寛の和歌とそっくりと指摘したため逆鱗に触れ,禄を失いのみとり侍に左遷されてしまう.
止むなく猫の蚤とりの親方・甚兵衛のもとに転げ込むが,曰くありげな寛之進を仇討ちのため身をやつす浪人と勝手に勘違いした甚兵衛夫妻は,のみとりの初歩から手ほどきし長屋の世話もしてくれる.3_14
のみとりの実態は女性に買われる“添寝業”だった.初日に声をかけてきた女性おみねは,亡妻・千鶴に瓜二つの囲われもの,しかしおみねに「下手くそ」と罵倒された寛之進はすっかり自信を失ってしまう.4_14
一方街で寛之進に助けられた清兵衛は,恐妻家の浮気者.清兵衛が浮気の手助けを頼んできたのに対し,寛之進は愛の手管を教えてもらおうとするが….
何とも奇妙な設定の時代劇コメディ.実力派の俳優達が真面目に取り組んでいる前半は見応えあり.清兵衛と愛人や寛之進とおみねの濡れ場も,おおらかで美しい.まあ寛之進がこの稼業に真面目に取り組んで,成果を出してしまう辺りがおかしいし,寛之進を買う山村紅葉のシーン等面白い場面もあった.5_11
ただ,終盤に向けて大団円に雪崩れ込んでいく筋書は,何とも御都合主義の平凡な展開で,いささかがっかり.後半はやや腰砕けの感がありました.
★★★(★5個が満点)
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