2017/10/16

独断的映画感想文:裁かれるは善人のみ

日記:2017年10月某日
映画「裁かれるは善人のみ」を見る.1_2
2014年.監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ.
出演:アレクセイ・セレブリャコフ(コーリャ(ニコライ)・セルゲーエフ),エレナ・リャドワ(リリア),ヴラディミール・ヴドヴィチェンコフ(ディーマ(ドミトリー)・セレズニョフ),ロマン・マディアノフ(ヴァディム市長),セルゲイ・ポホダーエフ(ロマ),アンナ・ウコロワ(アンジェラ),アレクセイ・ロズィン(パーシャ).2_2
バレンツ海に面するロシア北方の街.
港を見渡す橋のたもとに自動車修理工コーリャの家があり,若い後妻リリアと息子ロマが暮らしている.市長はこの場所の再開発のためコーリャの家を強制収容しようとしているが,コーリャはこれに対抗し,軍隊時代の仲間で弁護士のディーマに依頼して訴訟に訴えている.3_2
訴訟には敗北したものの,ディーマは市長の不正行為の証拠を入手して賠償額を大幅に引き上げさせる.市長はこれに対し大きな圧力をコーリャ達にかけ始める….
市長の権力の闇は深く,司法・警察もその思うままだ.教会も市長と固く結びついている.コーリャやその周りの人々は,ウォッカを浴びる程飲み人生の悲哀を嘆きながらも,身も心も押しつぶされていく他無い.4_2
北極圏に近い海辺の荒涼とした自然を背景に,映画はロシアにおける権力と庶民の関係を浮き彫りにする.
如何にもロシア映画らしい匂いがひりひりとする好編,見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:容疑者(1987)

日記:2017年9月某日
映画「容疑者」を見る.1
1987年.監督:ピーター・イエーツ.
出演シェール(キャスリーン・ライリー),デニス・クエイド(エディー・サンガー),リーアム・ニーソン(カール・ウェイン・アンダーソン),ジョン・マホーニー(ヘルムズ判事),フィリップ・ボスコ(ポール・グレイ).2
クリスマス直前のワシントン,司法局職員エリザベス・クィンの死体が湖畔で発見される.近傍に野宿していたホームレス:カールが容疑者として逮捕される.
官選弁護士とした担当となったキャスリーンは,カールがベトナム帰還兵で復員後聾唖者となったことを知り,筆談でカールの信頼を得る.
公判開始後も物証・証人が見つからず,状況証拠不利な中キャスリーンの苦戦が続くが,陪審員の一人・エディーが事件に興味を持ち,協力を申し出る.陪審員との接触が公になれば弁護士資格剥奪になりかねないキャスリーンは拒絶するが,エディが不審者の襲撃から彼女を守る事件が発生し,二人は協力することになる….3
オーソドックスな法廷ミステリ.陪審員の採否シーンから見せる映画はあまり無いのではないか.
最後の謎解きもまずまず.但し,エディーがなぜ執拗と思えるほどにキャスリーンにつきまとい協力を申し出たかの理由付けは,不充分.
結局はエディーの女性弁護士への下心以外は考えられない(自分からは肉食系に見えるエディーだが,アメリカ人ならそんなことは当たり前なのかも).その点でデニス・クエイドにはそれ程の魅力を感じなかった.4
キャスリーンを演じたシェールは,「ソニーとシェール」でデビューしたポップスシンガー,歌手としても女優としても息の長い人である.カール役のリーアム・ニーソンはこの時35歳.
余談だが,画面に映るこの年代の街にホンダの車が多いことに吃驚する.犯行現場もホンダシビックの車内.
★★★(★5個が満点)
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2017/10/01

独断的映画感想文:藁の楯 わらのたて

日記:2017年9月某日
映画「藁の楯 わらのたて」を見る.1_2
2013年.監督:三池崇史.
出演:大沢たかお(銘苅一基),松嶋菜々子(白岩篤子),岸谷五朗(奥村武),伊武雅刀(関谷賢示),永山絢斗(神箸正貴),余貴美子(由里千賀子),藤原竜也(清丸国秀),山崎努(蜷川隆興).2_2
逃亡中の少女暴行殺人の犯人・清丸に対し,被害者の祖父で経済界の重鎮・蜷川は,清丸殺害に10億円の賞金をかけることを広告し,清丸サイトを設置する.匿われていた友人に殺されかけた清丸は福岡県警に出頭,警視庁は清丸の移送に刑事奥村・神箸とSP銘苅・白岩を派遣する.
福岡県警の関谷を含め5名の移送チームが編成されるがが,警官・機動隊員の襲撃,医療関係者による殺害未遂等の事態が続き,車列で出発したチームは極秘に新幹線での移動に切り替える.その情報も清丸サイトに直ちに掲載されたが….3_2
憎むべき犯人の命を守るため命をかけるという,警察官等の闘いを描く.原作小説は未読.
設定は抜群に面白い.その後は,何時誰が襲ってくるかというスリルと,誰が如何に内通しているかというミステリで物語は進展する.
特に良かったのは清丸役の藤原竜也で,誰もがこの犯人を殺したいと思わせる様な,非人間的な殺人愉快犯を見事に演じている.4_2
一方突っ込みどころはかなりあって,例えばSPの白岩は重大なミスや判断の誤りを連発,何故この様な凡庸な刑事が特派されたのか不可解.ラストシーンの無理矢理の設定も理解不能で,中盤までの絶体絶命の状況を如何に突破するのか,という問いへの答が見事にスルーされたのには呆然とする.裏で動いていた警察官僚自身が蜷川と通じていたらしい状況も,中途半端な説明で終わる.5_2
前半に比べ後半はやや持て余した.
★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:マイ・ファニー・レディ

日記:2017年9月某日
映画「マイ・ファニー・レディ」を見る.1
2014年.監督:ピーター・ボグダノヴィッチ.
出演:オーウェン・ウィルソン(アーノルド・アルバートソン),イモージェン・プーツ(イザベラ・“イジー”・パターソン),キャスリン・ハーン(デルタ・シモンズ),ウィル・フォーテ(ジョシュア・フリート(ジョシュ)),リス・エヴァンス(セス・ギルバート),ジェニファー・アニストン(ジェーン・クレアモンド),オースティン・ペンドルトン(裁判官ペンダーガスト),シビル・シェパード(イジーの母親),リチャード・ルイス(イジーの父親),ジョージ・モーフォゲン(探偵),イリアナ・ダグラス(インタビュアー),クエンティン・タランティーノ.2
群像ドタバタコメディ.
演出家アーノルドは新作を演出するN.Y.で偽名でホテルに泊まり,早速コールガールを呼ぶ.やって来たグローと一晩楽しく過ごしたアーノルドは,コールガールを止めるなら3万ドルを提供すると言い,自分の夢を追うようにと勧める.3
女優志望だったグローは感激し,早速翌日本名のイザベラで新作のオーディションに参加,ところが審査員の一人はアーノルドだった….
ここからドラマは展開,同じく審査員の女優でアーノルドの妻デルタは共演者セスと共にイザベラを支持,脚本家ジョシュも賛成してイザベラは合格となる.
一方グローの客で判事のペンドルトンは彼女を追い回すため探偵を雇うが,探偵はジョシュの実父.ジョシュの恋人のセラピスト・ジェーンはイザベラとペンドルトンのカウンセラーでもあり,しかも患者の個人情報を洗いざらい喋る人物.この全員が同じレストランで鉢合わせになる….4
物語は人気女優イザベラが記者のインタビューに自分の過去をあけすけに語るという設定で進行するが,イザベラのキャラが誠にキュートであっけらかんとし魅力的だ.群像劇の割には話が判り易く,ドタバタコメディながら小ネタも良く効いていて楽しい.
5
一時はどうなることかという展開だが勿論映画はハッピーエンド,ラストシーンはイザベラが大物監督(本人出演)と手を組んで去って行く.俳優もそれぞれに魅力的でおすすめの映画.
★★★★(★5個が満点)
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2017/09/23

独断的映画感想文:三重スパイ

日記:2017年9月某日
映画「三重スパイ」を見る.1_2
2003年.監督:エリック・ロメール.
出演:カテリーナ・ディダスカル(アルノシエ),セルジュ・レンコ(フョードル),グリゴリ・モヌコフ(ボリス),ディミトリ・ラファルスキー(ドブリンスキー将軍),アマンダ・ラングレ(ジャニーン),シリエル・クレール(マギー).2_2
1936年5月のパリ.総選挙が行われ人民戦線支持派が勝利する.そのラジオ放送に聞き入るフョードルは,ロシア反革命派の白軍将校,今はパリで亡命ロシア人協会の事務職員をしている.
ギリシャの療養所で知り合った妻アルシノエは油絵が趣味.アパートの上階に引っ越してきた共産党支持者の教員夫婦とは,政治的意見は合わないながら食事を共にしたりする.
フョードルは情報通を自認し,会長のドブリンスキー将軍と共に各国の大使館員と会ったり外国に出張したり,多忙に活動している.3_2
時代はスペイン内戦の勃発等揺れ動く一方,アルシノエは,友人からフョードルがベルリンでナチの政府関係者と会っていたと聞き,あるいはフョードル自身からロシア赤軍の士官学校に誘われていると聞き,フョードルの行動に疑問を抱く様になる….
映画は殆どが会話シーンで進行するが,その各ショットと俳優の表情の動きが良く合っていて,退屈を感じない.
少し古風なフィルムの色調と,挿入される記録映画のモノクロ画面も親和性があって,印象的だった.4_2
映画は,個人の活動を問答無用で押しつぶす,この時代の国家機関の圧倒的な冷徹さを示して終了する.その前に翻弄されるアルシノエ・フョードルを演じた両俳優が見応えあり.
★★★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:マイ・ベスト・フレンド

日記:2017年9月某日
映画「マイ・ベスト・フレンド」を見る.1
2015年.監督:キャサリン・ハードウィック.
出演:トニ・コレット(ミリー),ドリュー・バリモア(ジェス),ドミニク・クーパー(キット),パディ・コンシダイン(ジェイゴ),タイソン・リッター(エース),フランシス・デ・ラ・トゥーア(ジル),ジャクリーン・ビセット(ミランダ).2
ミリーとジェスは子供の時からの大親友,初キスも初体験も互いの全てを知る間柄だ.ミリーは傍若無人,過激に暴走するタイプで,ジェスはその後始末や調整に奔走するタイプ.
それぞれ結婚しミリーは2人の子供に恵まれる日々.ミリーは或る日乳がんが発見され,ジェスの協力も得て療養生活に入るが,一方ジェスは不妊治療の甲斐あってようやく妊娠に成功する.ジェスはミリーにそれを打ち明けそびれているうちに,ミリーの病状は進行する….3
対照的な二人の女性の友情物語.トニ・コレットもドリュー・バリモアも好きな女優で,二人の競演が見応えあり.
生と死を分かつドラマだが,イギリス映画らしいユーモアもちりばめられ,最後まで楽しめた.特にジェスの出産にミリーが病をおして駆けつけるシーンは感銘的.4
ミリーの肉食系の母親を怪演するジャクリーン・ビセットも印象に残った.見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点)5
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2017/09/19

独断的映画感想文:サン・ジャックへの道

日記:2017年9月某日
映画「サン・ジャックへの道」を見る.1_2
2005年.監督:コリーヌ・セロー.
出演:マニュエル・ロビン(クララ),アルチュス・ド・パンゲルン(ピェール),ジャン=ピエール・ダルッサン(クロード),パスカル・レジティミス(ギイ),マリー・ブネル(マチルド),マリー・クレメール(カミーユ),フロール・ヴァニエ=モロー(エルザ),ニコラ・カザレ(サイード),エメン・サイディ(ラムジ).2_2
ピエール,クララ,クロードの3兄弟は仲が悪い.ところが母親が死去,その少なからぬ遺産を相続するためには,3人はサンジャックまでの巡礼をしなければならない.
3人は仕方なく,フランスのル・ピュイ・アン・ヴレのノートル・ダム大聖堂からスペインにあるキリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの,徒歩3ヶ月に亘る巡礼の旅に参加することになる.
ピエールは仕事人間で携帯を手離せないが,アル中の妻が心配.クララは高校教員で,多勢の子供を失業中の夫に任せて出てきた.3_2
クララとピエールは攻撃的で互いに罵り合い,つかみ合いまでする.クロードはアル中の女たらしで今まで働いたことはなく,人にたかって生きてきた.
この3人の他,ツアーには卒業旅行のカミーユとエルザの女子学生コンビ,カミーユに片思いして参加したサイードと,サイードにメッカ巡礼だと騙されて母親から2人分の旅費を貰って参加した従兄弟ラムジ,ガン闘病中のマチルドと,ガイドのギイがいる.波乱含みの9名の旅はこうしてスタートしたのだが….
長い旅で兄弟の仲は再建され,恋人たちは愛し合い,新たなカップルが出来という予測通りの大団円となるが,その巡礼の旅はなかなか厳しいもの.4_2
長い旅の風景描写はこの映画の素晴らしい特徴である.
まさに寝食を共にする生活の中で,巡礼者同士の理解も深まる.
当初はアラブ人であるギイ,サイード,ラムジを露骨に差別していたピエールが,スペインでアラブ人のみ牧師館への宿泊を拒否した牧師に向かい,「旅の同行者は兄弟だ!兄弟が別れ別れになることは出来ない!!」と叫ぶシーンは感銘的.5_2
皮肉屋のクララが,失読症のラムジに本気で字を教える様になる経過も素敵だ.いざという時に決定的に駄目人間だが,憎めないキャラのクロードも印象的.
人生の哀歓がユーモアに包まれて料理される.合間に挿入される幻想シーンも含め,如何にも映画らしい映画.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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独断的映画感想文:ザ・ブリザード

日記:2017年9月某日
映画「ザ・ブリザード」を見る.1
2016.監督:クレイグ・ギレスピー.
出演:クリス・パイン(バーニー・ウェバー),エリック・バナ(ダニエル・クラフ司令官),ケイシー・アフレック(レイモンド・シーバート),ベン・フォスター(リチャード・リヴシー),ホリデイ・グレインジャー(ミリアム),ジョン・オーティス(ウォレス).2
実話に基ずく物語.
映画の冒頭は1951年11月,沿岸警備隊1等水兵のバーニーは,ミリアムと初デート.翌年2月,二人は将来を誓う仲となり,司令官クラフに結婚の許可を貰うことになる.
その日,バーニーの所属するマサチューセッツ州チャタムの海域は大時化となり海難事故が続出,警備艇が出動した後からタンカー・ペンドルトン号遭難の知らせが入る.3
クラフ司令官はバーニーに出動を指示,バーニーは3名の同僚と共に小型警備艇で出動するが,遭難海域に向かう海は砂州の影響で,不規則に高潮の発生する危険海域だった.
一方,ペンドルトン号は船体が真っ二つに切断.船尾側機関室周辺の生存者は,浸水と闘いながらエンジンを保守して,何とか浅瀬に乗り上げ沈没を免れようと,1等機関士シーバートの指揮の下苦闘を続けていた….
映画はバーニーの警備艇が急行する模様と,ペンドルトン号の状況を交互に描きつつ,チャタムの警備局やミリアム達の動向を通じて,登場人物の背景も紹介していく.4
この映画の特徴は,第一に海との闘いを描くその迫力ある映像であろう.
夜の時化の海で,バーニー達は襲いかかる高潮をまるでサーファーの様にかいくぐり,波への突撃を繰り返す.一方ペンドルトン号では,舵に取り付けた鉄骨を操作しつつ,目視で浅瀬を目指し嵐の海を進む.
また,この映画は現場の腕利き達が上官の指示なしに,あるいは上官の指示に反して自分の意志を貫いていく物語でもある.5
バーニー達はクラフの指示で救難に向かうが,クラフは現場のことは良く判らない司令だった.どのコースを経てどう救難するかは,全てバーニーの判断による.一方ペンドルトン号は船橋を失っているので,無線もなく船長等の上級船員も皆無,こちらも全ての判断をシーバートが下す.アメリカ映画はこういう状況を描くのが好きな様だ.
映画の骨格は,海難救助のため人間が死力を尽くして自然と闘う,というはっきりしたもの.映像的にも見応えがあり,最後の結果は感銘的だ.見て損はなし.
但し邦題は海難救助の要素がなく,ちょっと不満.
★★★★(★5個が満点)
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2017/09/12

独断的映画感想文:パッセンジャー

日記:2017年9月某日
映画「パッセンジャー」を見る.1_2
2016年.監督:モルテン・ティルドゥム.
出演:ジェニファー・ローレンス(オーロラ・レーン),クリス・プラット(ジム・プレストン),マイケル・シーン(アーサー),ローレンス・フィッシュバーン(ガス).2
ネタバレあります.
5000人の乗客と290人のクルーが乗った宇宙船・アヴァロンは,120年の冬眠旅行後,新たな移住地に到着する予定.ところが乗客の一人ジムは90年早く覚醒してしまう.
冬眠ポッドの他は無人のまま自動航行する巨大宇宙船,途中での覚醒はあり得ないとしてシステムからは相手にされず,クルーの眠る管理エリアには立ち入ることが出来ない.
地球へ救援を求めるメールは応答があるまでに数十年かかる.
ジムはやむなく,たった一人の話し相手・バーテンダーロボットのアーサーを相手に,エコノミークラスのまずい食事で日々を過ごすが,1年後には孤独に耐えられなくなる.3_2
冬眠から一旦覚めると船内には入眠する設備はない.ジムは誰にも知られずに朽ち果てる運命にあった.
追い詰められたジムは,冬眠中の若く美しい乗客・オーロラを覚醒させてしまう.目覚めたオーロラはジムに覚醒させられたことを知らずに,自らの不運を嘆きながら次第にジムに心を許していく….
という設定の物語,宇宙船の造形や宇宙の景観はそれなりに見せる(「2001年宇宙の旅」の衝撃的な作りに比べれば何とも安易だが).しかし設定はSFだがその後の展開は全くSFではない.
ジムを覚醒させたシステムのエラーは次第に重篤なシステムの不全に発展していく訳だが,その解決策やその後の展開は極めて常識的.あっと驚く展開は全くないまま物語は終了する.4_2
ジムがオーロラを覚醒した行為も,オーロラが最後に下した選択も,あまり共感できない(というよりは設定の無茶苦茶さにそもそも腹が立つ).そういう意味で,主人公二人の熱演にもかかわらず,映画的面白さは得られなかった.
★☆(★5個が満点)
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独断的映画感想文:マリアンヌ

日記:2017年9月某日
映画「マリアンヌ」を見る.1
2016年.監督:ロバート・ゼメキス.
出演:ブラッド・ピット(マックス),マリオン・コティヤール(マリアンヌ),ジャレッド・ハリス(フランク).
第2次大戦中の情報工作員の物語.
1943年モロッコに潜入したパイロット・マックスは,レジスタンスの生き残り・マリアンヌと夫婦を演じてドイツ大使館のパーティーに出席,大使を射殺する任務に就く.3
死を賭した作戦は見事成功し,ロンドンに脱出した二人は互いに愛し合う様になり結婚,子供にも恵まれる.マックスは内勤に回され,ロンドンが空襲される中にも平穏な日々を過ごす.
ところがある日情報部に呼び出されたマックスは,妻がマリアンヌになりすました,ドイツのスパイである疑いがあると知らされる….4
前半は大使暗殺作戦のサスペンスと二人のロマンス,後半はマリアンヌの疑惑を晴らそうとするマックスの悪戦苦闘を描く.
本作は映像的にはあまり大作感はない.モロッコの砂漠の描写も中途半端だし,戦争映画なのに戦闘シーンはなし.
それよりもこの映画は俳優を見る映画,ブラッド・ピットとマリオン・コティヤールを見る映画だ.
後半,マックスはマリアンヌの正体を知る手掛かりを求めて奔走しながら,それを覆い隠してマリアンヌとの日常を過ごす.一方マリアンヌは夫の普段と異なる行動を気に止めながら,常に変わらぬ愛情を夫に注ぐ.5
果たして彼女はスパイなのか本当のマリアンヌなのか.それぞれを演じる二人の演技が充実.特にマリオン・コティヤールの最後のシーンは心に残る.
ブラッド・ピットは若々しいが,表情に昔の様なシャープさがあればもっと良かった.
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