2021/02/26

番外:独断的歌舞伎感想文 2月大歌舞伎第1部 十種香/泥棒と若殿

日記:2021年2月某日
「2月大歌舞伎第1部」を見る.Img_20210219_135514
「一、本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう) 十種香」.出演:八重垣姫(魁春),武田勝頼(門之助),白須賀六郎(松江),原小文治(男女蔵),腰元濡衣(孝太郎),長尾謙信(錦之助).山本周五郎 作/矢田弥八 脚色/大場正昭 演出.「二、泥棒と若殿(どろぼうとわかとの)」.出演:伝九郎(松緑),松平成信(巳之助),迎えの侍(男寅),同(左近),宝久左衛門(弘太郎),梶田重右衛門(亀鶴),鮫島平馬(坂東亀蔵).
十種香は八重垣姫の名場面ながら,起承転結でいえば「承」のみの舞台のようなもので,若干退屈.まだまだ修行が足りません.
「泥棒と若殿」は,お家騒動であばら家に逼塞している若殿と,初めての泥棒をしにはいった伝九郎とが友達になり…という芝居.テンポが良く松緑・巳之助のコンビも好感が持てる.しかしなぜこの二人が親友にまでなったのか,お家騒動の事情はどうなっているのか,が判らず腑に落ちないまま話は終わってしまった.終盤やけに説教臭い展開になったと思ったら,原作は山本周五郎だった,納得.
10時半から始まる第1部で客は少なく,盛り上がりには欠けたが,1時間の芝居2つで今月の番組では一番ずっしりとしている.
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2021/02/19

番外:独断的歌舞伎感想文 2月大歌舞伎第2部 土手のお六/鬼門の喜兵衛/神田祭

日記:2021年2月某日
歌舞伎座2月大歌舞伎第2部を見る.Kabukiza2102_h_1000_5fa8180208ea487e9c51
四世鶴屋南北 作・渥美清太郎 改訂.「一、於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり) 土手のお六/鬼門の喜兵衛」.出演:土手のお六(玉三郎),山家屋清兵衛(権十郎),髪結亀吉(中村福之助),丁稚長太(寺嶋眞秀),庵崎久作(吉之丞),油屋太郎七(彦三郎),鬼門の喜兵衛(仁左衛門).「二、神田祭(かんだまつり)」.出演:鳶頭(仁左衛門),芸者(玉三郎).
土手のお六は良くできた芝居だ.長い狂言の一部だけど,美男美女の悪党の強請の失敗の顛末が起承転結テンポよい.演じる玉三郎,仁左衛門は,特に小梅の莨屋の場が美しい.店に出入りするそれぞれの関係者の話,預けていく小道具を眺めながら黙って酒を飲む二人.立ち上がる頃にはもう悪事の筋書きが二人の中に出来上がっている.その後の悪事の仕掛けをしながらの二人の美しい見得が浮世絵のようで,緊張感にあふれ素敵.それが瓦町油屋の店先の場で,見事に失敗する顛末も見ごたえあり.
神田祭は棟梁・芸者の美しい踊りに酔うばかり.まさに一世を風靡するご両人だった.
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2021/02/12

番外:独断的歌舞伎感想文 二月大歌舞伎第3部 袖萩祭文/連獅子

日記:2021年2月某日
歌舞伎座で「二月大歌舞伎第3部」を見る.Kabukiza2102_tokubetsu_adachigahara16121
十七世中村勘三郎三十三回忌追善狂言.「一、奥州安達原(おうしゅうあだちがはら) 袖萩祭文」.出演:袖萩(七之助),安倍貞任(勘九郎),娘お君(長三郎),義家の郎党(種之助),義家の郎党(玉太郎),義家の郎党(歌之助),義家の郎党(莟玉),安倍宗任(芝翫),平傔仗直方(歌六),浜夕(東蔵),八幡太郎義家(梅玉).十七世中村勘三郎三十三回忌追善狂言・河竹黙阿弥 作「二、連獅子(れんじし)」.出演:狂言師右近後に親獅子の精(勘九郎),狂言師左近後に仔獅子の精(勘太郎),法華の僧蓮念(鶴松),浄土の僧遍念(萬太郎).
袖萩祭文はここに至る経緯が複雑で,この場面を見ただけでは何が何やらわからない.直方が預かる皇子・環宮が行方不明,その責任を取って切腹という夕方,奥には次女の夫:八幡太郎義家,勅使:桂中納言も来ている.そこに父の危急を聞いて現れた長女袖萩は義家の宿敵・安倍の貞任の妻の身,しかし今は娘お君を伴う盲目の女乞食である.袖萩は家に入ることを許されず,戸外で不幸を詫びる祭文を語った後,父直方の切腹を追うように自害する.桂中納言は実は安倍の貞任であることが義家に見抜かれ,戦場での再会を約して弟宗任と共に去る.という古い時代の奥州の物語なのだが,今回は勘九郎・七之助のキャラを出し過ぎた感あり.重厚な背景を背負った古い時代の悲劇という印象がやや薄かった.7歳の長三郎は長丁場をほぼ出ずっぱりでよく頑張った.Kabukiza2102_tokubetsu_renjishi161214911
連獅子は勘太郎(もうすぐ10歳)が奮闘,2001年に茨木で渡辺の綱の小姓を踊った尾上右近(当時岡村研佑9歳半)を彷彿とさせる.役に対する本気の構えが素晴らしい.父勘九郎ともども印象的な連獅子.
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2021/01/17

番外:独断的歌舞伎感想文 壽 初春大歌舞伎 第1部 壽浅草柱建(ことほぎてはながたつどうはしらだて)/悪太郎(あくたろう)

日記:2021年1月某日
歌舞伎座で「壽 初春大歌舞伎 第1部」を見る.Kabukiza2101_h1000_27bcc7a326c8c0b6cc064 「一、壽浅草柱建(ことほぎてはながたつどうはしらだて)」.出演:曽我五郎時致(松也),曽我十郎祐成(隼人),小林朝比奈(巳之助),大磯の虎(米吉),化粧坂少将(莟玉),喜瀬川亀鶴(鶴松),茶道珍斎(種之助),小林妹舞鶴(新悟),工藤左衛門祐経(歌昇).岡村柿紅 作.「二、猿翁十種の内 悪太郎(あくたろう)」.出演:悪太郎(猿之助),修行者智蓮坊(中村福之助),太郎冠者(鷹之資),伯父安木松之丞(猿弥).
柱建は曽我物の翻案で,主要人物が出揃って柱建の慶事の後の直来で,それぞれに踊りを披露するという設定.若手の浅草歌舞伎が今年は中止になったので,代わりにここに若手が勢ぞろいすることになった.一時休演していた莟玉も復帰してきれいどころが揃いなかなかに華やか,巳之助,歌昇らも良く声が出て楽しかった.
悪太郎は,酒乱の悪太郎を太郎冠者と伯父がやっつける狂言に基づいた舞踊劇.猿之助がやりたい放題の悪太郎を,軽妙に演じる.通りすがりの修行僧・智蓮坊との絡みが長いが,福之助もよく頑張った.
芝居を見て改めて今はまだ正月なのだったと思い出す.芝居とはありがたいものである.
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2021/01/03

番外:独断的歌舞伎感想文 国立劇場令和3年初春歌舞伎公演「四天王御江戸鏑(してんのうおえどのかぶらや)」

日記:2021年1月某日
国立劇場で令和3年初春歌舞伎公演「四天王御江戸鏑(してんのうおえどのかぶらや)」を見る.R0301kabuki_flyer_f
福森久助=作,尾上菊五郎=監修,国立劇場文芸研究会=補綴.「通し狂言 四天王御江戸鏑 (してんのうおえどのかぶらや) 四幕六場 国立劇場美術係=美術.
序幕 相馬御所の場,二幕目 第一場 羅生門河岸中根屋座敷の場,第二場 同 花咲部屋の場,三幕目 第一場 二条大宮源頼光館の場,第二場 同 寝所の場,大詰 北野天満宮の場」.
配役:鳶頭中組の綱五郎実ハ渡辺源次綱(尾上菊五郎),茨木婆実ハ良門伯母真柴/一条院(中村時蔵),相馬太郎良門/平井左衛門尉保昌/袴垂保輔(尾上松緑),女郎花咲実ハ葛城山の土蜘蛛の精/大宅太郎光圀(尾上菊之助),やきいもの金/碓井靫負尉貞光(坂東彦三郎),はらぶとの福/酒田主馬佑公時(坂東亀蔵),源頼光(中村梅枝),三番叟/卜部勘解由季武(中村萬太郎),鰈七郎盛付(市村竹松),弁の内侍(尾上右近),鮃九郎一裂(市村光),たるぬきの正(市村橘太郎),伴森右衛門(片岡亀蔵),皮肉の喜兵衛(河原崎権十郎),豊後次郎忠政(坂東秀調),鰊の局(市村萬次郎),西光坊天山(市川團蔵),星鮫入道蒲鉾(坂東楽善).
時はいつの頃かわからないが,平将門の遺児・良門が,葛城山の土蜘蛛の精と結んで都を騒がせ,これを源の頼光麾下の四天王が討つという物語.
四天王の中でも渡辺の綱が実は街場の棟梁綱五郎で,これが土蜘蛛の精・女郎花咲と朝廷の使者・弁の内侍の両方から結婚を迫られ,もててもてて困るという第二幕が一番面白い.菊五郎がはまり役,右近と菊之助が美しく(特に右近のあだっぽさは素晴らしい),くすぐりネタもちりばめられて楽しかった.
物語の展開も意外性に富んで,お正月らしい勇壮でふくらみのある作品.見てよかった.
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2020/12/25

番外:独断的歌舞伎感想文 国立劇場12月歌舞伎公演第一部 三人吉三巴白浪

日記:2020年12月某日
「国立劇場12月歌舞伎公演 第一部」を見る.R212kabuki_omote-_s
「三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ) 序幕:大川端庚申塚の場 二幕目第一場 巣鴨在吉祥院本堂の場/第二場 同 裏手墓地の場/第三場 同 元の本堂の場/大詰  本郷火の見櫓の場 浄瑠璃『初櫓噂高嶋』」.清元連中/竹本連中」.出演:お嬢吉三(中村時蔵),お坊吉三(尾上松緑),堂守源次坊(坂東亀蔵),伝吉娘おとせ(坂東新悟),手代十三郎(中村萬太郎),捕手頭長沼六郎(中村松江),和尚吉三(中村芝翫).
名台詞で酔わせる傑作狂言.今回は芝翫の和尚吉三がはまり役で良かった.この人のいいところが堪能できる.
手堅い配役だったが,自分としては不良少年の悲哀の物語と心得ているこの芝居,もう少し配役が若く緊張感があって欲しかった.
劇場は週日で客は少なく,俳優から見る客席も寂しいであろう,その点は気の毒である.
今年の芝居納めはやや寂寥の雰囲気でお開き.
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2020/12/19

番外:独断的歌舞伎感想文 12月大歌舞伎第1部・第2部 四変化 弥生の花浅草祭/心中月夜星野屋

日記:2020年12月某日
歌舞伎座で「12月大歌舞伎第1部・第2部」を見る.Img_20201219_130113
「第一部 四変化 弥生の花浅草祭(やよいのはなあさくさまつり ) 神功皇后と武内宿禰/三社祭/通人・野暮大尽/石橋」.戸崎四郎 補綴.出演:武内宿禰・悪玉・国侍・獅子の精(愛之助),神功皇后・善玉・通人・獅子の精(松也).「第二部 落語「星野屋」より 心中月夜星野屋(しんじゅうつきよのほしのや)」.小佐田定雄 脚本,今井豊茂 演出.出演:おたか(七之助),星野屋照蔵(中車),母お熊(猿弥),和泉屋藤助(片岡亀蔵).
第1部の踊りは愛之助・松屋の早変わりの踊り.二人の息の合い方がいまいちだし,三社祭は息が上がったのか切れが悪かったが,趣向を変え衣装を変え,最後は毛振りで大奮闘.楽しかった.
星野屋は落語元ネタのドタバタ劇,役者がそろった喜劇で面白かった.前回(2018年8月)はお熊が獅童だったが,猿弥の方が芸達者.
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2020/12/13

番外:独断的歌舞伎感想文 12月大歌舞伎 3部・4部 傾城反魂香 土佐将監閑居の場/日本振袖始 大蛇退治

日記:2020年12月某日
歌舞伎「12月大歌舞伎 3部・4部」を見る.Kabukiza2012_h_51656c0984a121b6c7e16ac46 第三部.近松門左衛門 作.「傾城反魂香(けいせいはんごんこう) 土佐将監閑居の場」.出演:浮世又平(勘九郎),女房おとく(猿之助),狩野雅楽之助(團子),土佐修理之助(鶴松),将監北の方(梅花),土佐将監光信(市蔵).
第四部.近松門左衛門 作.「日本振袖始(にほんふりそではじめ) 大蛇退治」.出演:岩長姫実は八岐大蛇(玉三郎),稲田姫(梅枝),素盞嗚尊(菊之助).
 第3部は久しぶりの勘九郎,猿之助と組んだ吃又は12年前の浅草公会堂以来だそうだ.しかし勘九郎のニンとよく合ったこの吃又が素晴らしい.絶望の果てに切腹を決意するくだり,師匠に土佐姓を許されて舞う踊りの剽けた明るさ,生真面目で明るい勘九郎の持ち味が生きて感動的.猿之助の女房おとくも自在な演技で引き込まれる.團子の(身体的)成長に吃驚,しかし演技は今後に期待.Img_20201219_115137  
第4部は玉三郎が魅力全開,身体を絞ったと思われる岩長姫の踊り,変身した八岐大蛇の踊りともに素晴らしく息をのむ.岩長姫の踊りには,蛇身である自らへの悲哀さえ感じられるようだ.菊之助の素盞嗚尊も美しく,緊張感にあふれた舞台は一見の価値あり.
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2020/11/15

番外:独断的歌舞伎感想文 蜘蛛の絲宿直噺(くものいとおよづめばなし)

日記:2020年11月某日
歌舞伎座で「吉例顔見世大歌舞伎 第1部:蜘蛛の絲宿直噺(くものいとおよづめばなし) 市川猿之助五変化相勤め申し候」を見る.
出演:女童熨斗美/小姓澤瀉/番新八重里/太鼓持彦平/傾城薄雲(猿之助),源頼光(隼人),碓井貞光(中村福之助),金時女房八重菊(笑三郎),貞光女房桐の谷(笑也),坂田金時(猿弥).Img_20201115_104250
病で伏している源頼光を,男女5通りの姿に変化した蜘蛛の妖怪が襲い,宿直の武士やその女房達と戦うという舞踊.わずか40分余りの舞踊に早変わりと男女の連れ舞を仕込んだ猿之助らしい舞台で,文句なしに楽しい.頼光の病も「今はやりの感染症では」などのくすぐりも入って面白かった.
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2020/11/14

番外:独断的歌舞伎感想文 国立劇場11月歌舞伎公演第2部 毛谷村/文売り/三社祭

日記:2020年11月某日
国立劇場11月歌舞伎公演第2部を見る.
「彦山権現誓助剣(ひこさんごんげんちかいのすけだち) -毛谷村- 第一場 豊前国彦山杉坂墓所の場・第二場 同 毛谷村六助住家の場」.出演:毛谷村六助(片岡仁左衛門),一味斎娘お園(片岡孝太郎),杣人斧右衛門(坂東彦三郎),一味斎孫弥三松(小川大晴),家人佐五平(片岡松之助),微塵弾正実ハ京極内匠(坂東彌十郎),一味斎後室お幸(中村東蔵).11kabuki24
「上・文売り(ふみうり),下・三社祭(さんじゃまつり)」.清元連中.出演:『文売り』:文売り(中村梅枝).『三社祭』:悪玉(中村鷹之資),善玉(片岡千之助).
毛谷村は,村に隠棲している剣豪六助が,師匠一味斎の娘で女武芸のお園と出会い,師匠の仇で自分をも騙した京極内匠と対決する物語.お園の愛嬌や突然現れる一味斎後室との頓狂なやり取りなど,ユーモアたっぷりの展開と,仁左衛門の素晴らしい演技が魅力.梅枝の息子・小川大晴君が初お目見えながら立派に芝居して,やんやの拍手.11kabuki25
次の踊りは三社祭の鷹之資が父・富十郎を彷彿とさせる達者な踊りで印象的だった.鷹之資も21歳,千之助と一つ違いで,将来良いコンビになると良いが.11kabuki26
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