2022/03/15

番外:独断的歌舞伎感想文:国立劇場歌舞伎名作入門:盛綱陣屋

日記:2022年3月某日
国立劇場で歌舞伎公演:を見る.202203kabukihon2f
近松半二=作.「近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)  一幕 -盛綱陣屋-」.国立劇場美術係=美術.出演:佐々木盛綱(尾上菊之助),高綱妻篝火(中村梅枝),信楽太郎(中村萬太郎),伊吹藤太(中村種之助),盛綱妻早瀬(中村莟玉),高綱一子小四郎(尾上丑之助),盛綱一子小三郎(小川大晴),古郡新左衛門(嵐橘三郎),盛綱母微妙(上村吉弥),北條時政(片岡亀蔵),和田兵衛秀盛(中村又五郎).202203kabukihon12
まず萬太郎の解説があり,休憩後ほぼ2時間の舞台を一気に上演.今回の注目は何と言っても初役の盛綱を演じる菊之助,なかなかの熱演で今後が期待される.202203kabukihon11
小四郎を演じる丑之助は昨年9月以来の2回目で,この芝居では菊之助の先輩である.はかなげな声ながらセリフが良く通って,哀れさが涙を誘う.又五郎が元気な和田兵衛で良かった.202203kabuki5
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2022/03/11

番外:独断的歌舞伎感想文:三月大歌舞伎第3部 輝虎配膳/石川五右衛門

日記:2022年3月某日
歌舞伎座で三月大歌舞伎第3部を見る.2203kabukiza_hh_9246039c572865ed497c02c6
第三部 近松門左衛門 作.「一、信州川中島合戦(しんしゅうかわなかじまかっせん) 輝虎配膳」.出演:長尾輝虎(芝翫),お勝(雀右衛門),直江山城守(幸四郎),唐衣(孝太郎),越路(魁春).戸部銀作 補綴.「二、増補双級巴 石川五右衛門(いしかわごえもん) 松本幸四郎宙乗りにてつづら抜け相勤め申し候」.出演:石川五右衛門(幸四郎),三好長慶(松江),三好国長(歌昇),左忠太(廣太郎),右平次(鷹之資),佐々木秀経(玉太郎),細川和氏(男寅),仁木頼秋(竹松),次左衛門(錦吾),呉羽中納言(桂三),此下久吉(錦之助).Goemon_poster1646191283790
輝虎配膳は,軍師・山本勘助を取り込むためその母・越路を接待しようという輝虎と,勘助の武田への忠義を守るためそれを蹴飛ばす越路との,緊張あふれる対決を描く.良い配役で面白く見た.石川五右衛門は2006年と2018年に吉右衛門で見ている.4年前に吉右衛門がつづら抜けの宙乗りをしたというのは驚異的だ.幸四郎は染五郎時代の2011年にほぼ今回と同じ配役で見ている.前回は松緑だった此下久吉を錦之助がやっているが,幸四郎とのバランスよく好印象.幸四郎の宙乗りがまたも自分のま横を通って行って大満足だった.その直後の大薩摩の演奏も素敵.
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2022/03/06

番外:独断的歌舞伎感想文:三月大歌舞伎 1部・2部:新・三国志 関羽篇/河内山/芝浜革財布

日記:2022年3月某日
歌舞伎座で「三月大歌舞伎第1部・第2部」を見る.2203kabukiza_poster1645424346757 第一部.羅 貫中 作「三国演義」より.横内謙介 脚本・演出.市川猿之助 演出.市川猿翁 スーパーバイザー.三代猿之助四十八撰の内.「新・三国志(しんさんごくし) 関羽篇 市川猿之助宙乗り相勤め申し候」.出演:関羽(猿之助),劉備(笑也),香溪(尾上右近),孫権(中村福之助),関平(團子),諸葛孔明(弘太郎改め青虎),華佗(寿猿),司馬懿(笑三郎),陸遜(猿弥),黄忠(石橋正次),曹操(浅野和之),呉国太(門之助),張飛(中車).
新・三国志は三国志中の関羽の生涯に焦点を当てて描く.魏の曹操軍の捕虜となった蜀軍兵士の家族5万を救うため,自らを犠牲にして一人曹操軍に降るため,関羽が幕僚に別れを告げる群像劇の場面が印象的だ.最後の宙乗りは,3階席の自分の席のま横を猿之助が飛んでいき,大満足.
第二部 河竹黙阿弥 作.「一、天衣紛上野初花 河内山(こうちやま)  質見世より玄関先まで」.出演:河内山宗俊(仁左衛門),松江出雲守(鴈治郎),宮崎数馬(高麗蔵),腰元浪路(千之助),番頭伝右衛門(松之助),北村大膳(吉之丞),米村伴吾(宗之助),黒沢要(亀鶴),大橋伊織(坂東亀蔵),和泉屋清兵衛(権十郎),後家おまき(秀調),高木小左衛門(歌六).「二、芝浜革財布(しばはまのかわざいふ)」.出演:魚屋政五郎(菊五郎),政五郎女房おたつ(時蔵),左官梅吉(権十郎),錺屋金太(彦三郎),酒屋小僧(寺嶋眞秀),桶屋吉五郎(橘太郎),大家長兵衛(團蔵),金貸おかね(東蔵),大工勘太郎(左團次).Img_20220306_104038 第2部はがらりと雰囲気が変わって,江戸の世界へ.河内山はもっぱら吉右衛門で見ていて,仁左衛門の河内山は17年ぶりに見る.いなせな河内山が良い.芝浜は落語どおり,菊五郎,時蔵,左團次のベテラン勢が元気.酒屋の小僧の寺嶋眞秀が,店先での芝居の真似で,弁天小僧菊之助を演じて拍手喝さい.
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2022/02/21

番外:独断的歌舞伎感想文:二月大歌舞伎第3部 鬼次拍子舞/鼠小僧次郎吉

日記:2022年2月某日
歌舞伎座で「二月大歌舞伎第三部」を見る.2202_nezumikozo1643632241551_20220612144001 「一、鬼次拍子舞(おにじひょうしまい)」.出演:山樵実は長田太郎(芝翫),白拍子実は松の前(雀右衛門).河竹黙阿弥 作.「二、 鼠小紋春着雛形 鼠小僧次郎吉(ねずみこぞうじろきち)」.出演:稲葉幸蔵(菊之助),刀屋新助(巳之助救援・代役菊次),芸者お元(新悟),杉田娘おみつ(米吉),蜆売り三吉(丑之助),石垣伴作(吉之丞),左膳弟子左内(橘太郎),養母お熊(橘三郎),与之助(坂東亀蔵),早瀬弥十郎(彦三郎),本庄曾平次(権十郎),大黒屋抱え松山(雀右衛門),辻番与惣兵衛(歌六).
拍子舞は台詞のある踊りを言うらしい.芝翫・雀右衛門ともに美しく古風な踊りが印象的.Img_20220215_171352-3
鼠小僧はスピーディーで現代風な物語.この芝居は「起承転結」で言えば,「承」と「転」の間で大変な激変がある.「承」で面目躍如となった鼠小僧だが,「転」では「承」の結果がすべて裏目に出て鼠小僧はのっぴきならない羽目になる.現代の不条理劇にも通じる状況だ.一方で登場人物はほぼすべてが鼠小僧とは血縁含めゆかりのある人物ばかり(黙阿弥ものですから),それが明らかになっていく「転」から「結」の展開はなかなか面白い.役者ではなんと言っても丑之助が子役と思えぬねちこい芝居で見応えあり.主役・菊之助と歌六がさすがの力量で印象的だった.2時間を超す舞台があっという間,見て損はなかった.18日の予約が休演でふいになり21日に再度チケットを獲得して見た甲斐あり.
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2022/02/15

番外:独断的歌舞伎感想文 2月大歌舞伎1部・2部:御浜御殿綱豊卿/石橋/春調娘七種/渡海屋・大物浦

日記:2022年2月某日
歌舞伎座2月大歌舞伎1部を見る.2202kabukiza_h_d93aa0a4e00724fdd3d286f16
真山青果 作・真山美保 演出.「一、元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら) 御浜御殿綱豊卿」.徳川綱豊卿(梅玉),富森助右衛門(松緑),中臈お喜世(莟玉),上臈浦尾(歌女之丞),小谷甚内(松之助),新井勘解由(東蔵),御祐筆江島(魁春).「二、石橋(しゃっきょう)」.出演:獅子の精(錦之助),同(鷹之資),同(左近).
真山青果ものは元来好きではない.膨大なセリフ劇だし,自らの言葉に感激して涙ぐむあたり(綱豊卿と新井勘解由の会話)は全くいただけない.今回は松緑の富森助右衛門が,ニンに合って共感できた.石橋は鷹之資がコロナ感染で休演,錦之助・左近での踊りとなったが,左近奮闘,見事な踊りで感激.2202_genroku_poster1644147075988
その後歌舞伎座2月大歌舞伎2部を見る.
「一、春調娘七種(はるのしらべむすめななくさ)」.出演:曽我十郎(梅枝),静御前(千之助),曽我五郎(萬太郎).「二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら) 渡海屋 大物浦 片岡仁左衛門一世一代にて相勤め申し候」.出演:渡海屋銀平実は新中納言知盛(仁左衛門),源義経(時蔵),女房お柳実は典侍の局(孝太郎),入江丹蔵(隼人),銀平娘お安実は安徳帝(小川大晴),相模五郎(又五郎),武蔵坊弁慶(左團次).Img_20220215_104407
最初の踊りは梅枝が曽我の十郎で立ち役,千之助が静御前だが,これが美しい.若手3人の踊りが魅力的.渡海屋/大物浦は仁左衛門一世一代というだけあって素晴らしい雄渾な舞台.知盛が平家一門の中にあって,武人として安徳帝に仕えたということが,その凄惨な最後によって明確に描かれる.そのことが明らかにされる仁左衛門の渾身の舞台が,誠に印象的で心に残る.最後に弁慶の吹くほら貝と,その後の弁慶の花道の引っ込みも感銘的だった.
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2022/01/21

番外:独断的歌舞伎感想文 壽 初春大歌舞伎 第3部 岩戸の景清/義経千本桜・川連法眼館の場

日記:2022年1月某日
歌舞伎座で「壽 初春大歌舞伎 第3部」を見る.Img_20220121_173547
河竹黙阿弥 作.「難有浅草開景清 一、岩戸の景清(いわとのかげきよ)」.出演:悪七兵衛景清(松也=代役猿弥),条時政(巳之助),江間義時(種之助),和田義盛(隼人),千葉介常胤(莟玉),衣笠(米吉),朝日(新悟),秩父重忠(歌昇).三代猿之助四十八撰の内.「二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら) 川連法眼館の場 市川猿之助宙乗り狐六法相勤め申し候」.出演:佐藤忠信/忠信実は源九郎狐(猿之助),静御前(雀右衛門),駿河次郎(猿弥),亀井六郎(弘太郎),局千寿(寿猿),飛鳥(笑也),源義経(門之助),川連法眼(東蔵).
岩戸の景清は,浅草公会堂の若手歌舞伎が中止になったのを受けて設けられた,若手中心の出し物.しかし松也が休演となって中心人物が代役となってしまった.内容は若手花形の勢揃い以上のものはなく,みんな元気かー?という感じ.
狐忠信は猿之助充実の舞台.宙乗り,早変わり等の技を尽くしての舞台と,その中で本物の忠信の主君義経への忠誠と狐忠信の親への愛着を,体力の限界をかけて演じ抜いた.見事宙乗りへ舞い上がった時の感動は,言葉に言い尽くせない.このコロナ禍の中,歌舞伎座に来て良かった.
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2022/01/18

番外:独断的歌舞伎感想文 壽 初春大歌舞伎 第1部第2部 一條大蔵譚/祝春元禄花見踊 三番叟/艪清の夢

日記:2022年1月某日
歌舞伎座で「壽 初春大歌舞伎 第1部第2部」を見る.2201kabukiza_h_8bc122e6650db6ad956761b9e
第一部.「一、一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり) 檜垣 奥殿」.出演:一條大蔵長成(勘九郎),吉岡鬼次郎(獅童),鳴瀬(澤村國久),お京(京蔵),常盤御前(歌女之丞).「二、祝春元禄花見踊(いわうはるげんろくはなみおどり)」.出演:真柴久吉(獅童),山三(勘九郎),初お目見得・奴喜蔵(小川陽喜).
コロナ禍で七之助と橋之助兄弟,虎之介が休演で代役を立て,歌女之丞・京蔵が好演.勘九郎の大蔵卿は新鮮でメリハリ良く,吉右衛門の愛嬌・哀愁とはまた別の長成像を見せてくれた.花見踊りはとにかく大勢が休演で舞台がスカスカなのは否めない.小川陽喜君が3頭身と思しき頭でっかちな体で,初お目見えの割には幾つも見得を決め圧倒的な拍手.踊りでは澤村國矢がセンターを勤めて好演.昼休みは小諸そばへ,その後ドトールで読書.
第二部.「一、春の寿(はるのことぶき) 三番叟 萬歳」.三番叟:翁(梅玉),三番叟(芝翫),千歳(魁春).萬歳:萬歳(又五郎),才造(鴈治郎).三世桜田治助 作,山田庄一 演出.「二、新玉の笑いで寿ぐ邯鄲枕物語 艪清の夢(ろせいのゆめ)」.出演:艪屋清吉(幸四郎),横島伴蔵/盗賊唯九郎(錦之助),清吉女房おちょう/傾城梅ヶ枝(孝太郎),お臼(壱太郎),貸物屋六助/杵造(廣太郎),下男太郎七/捨金番福六(吉之丞),八百屋女房おみね(宗之助),米屋勘助(松江),安藝の内侍(高麗蔵),紺屋手代黒八/番頭作左衛門(友右衛門),家主六右衛門/鶴の池善右衛門(歌六).
春の寿はいかにもお正月らしい踊り.艪清の夢は「笑いで寿ぐ」というキャッチフレーズの割に,筋が皆目わからない.竹本の演奏とかち合って台詞が聞こえにくい.中村錦之助の熱演以外はほとんど得るものなし,残念.
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2022/01/11

番外 独断的歌舞伎感想文:国立劇場開1月歌舞伎公演  南総里見八犬伝

日記:2022年1月某日
国立劇場で歌舞伎を見る.2022_1kabuki_hon_f
国立劇場開場55周年記念.曲亭馬琴=作.渥美清太郎=脚色.尾上菊五郎=監修.国立劇場文芸研究会=補綴.国立劇場美術係=美術.「通し狂言 南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん) 五幕七場:序幕 (武蔵) 大塚村蟇六内の場・本郷円塚山の場/二幕目 (下総) 滸我足利成氏館の場・同 芳流閣の場/三幕目 (下総) 行徳古那屋裏手の場/四幕目 (武蔵) 馬加大記館対牛楼の場/大 詰 (上野) 扇谷定正居城奥庭の場」.220103kabuki2
出演:犬山道節(尾上菊五郎),犬坂毛野(中村時蔵),網乾左母二郎/犬飼現八(尾上松緑),犬塚信乃(尾上菊之助),犬田小文吾(坂東彦三郎),犬川荘助(坂東亀蔵),蟇六娘浜路(中村梅枝),犬村大角(中村萬太郎),横堀在村(市村竹松),甘利掻太(市村光),犬江親兵衛(尾上左近),軍木五倍二(市村橘太郎),大塚蟇六(片岡亀蔵) , 馬加大記( 河原崎権十郎) , 蟇六女房亀笹(市村萬次郎),簸上宮六(市川團蔵),足利成氏(坂東楽善),扇谷定正(市川左團次).220103kabuki4
一幕目の引っ込みは左近・松緑の親子が見どころ.幕が引かれた後2人花道で入れ替わり入れ替わり踊り,先に左近が元気に花道を駆けた後,松緑が客席に聞こえる様に「はぁ」とため息をつき観客がどっと受ける.その後松緑が飛び六方で花道を引っ込むという趣向で,なかなかの見応え.2幕目芳流閣大屋根の大立ち回りも素敵.3幕目の星空と蛍の灯のもと展開する,犬飼現八と犬塚信乃の和解シーンも美しい.お正月らしい菊五郎劇団総出演の通し狂言で,楽しかった.220103kabuki7
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2021/12/21

番外 独断的歌舞伎感想文:十二月大歌舞伎第1部 伊達の十役

日記:2021年12月某日
歌舞伎座で「十二月大歌舞伎第1部」を見る.2112_kabukiza_tokupo1638278772692 四世鶴屋南北 作.奈河彰輔 補綴・演出,石川耕士 補綴・演出,市川猿翁 演出,市川猿之助 演出,三代猿之助四十八撰の内.「新版 伊達の十役(しんぱん だてのじゅうやく) 市川猿之助十役早替り相勤め申し候.序幕:足利家奥殿の場,同 床下の場.大詰.浄瑠璃 間書東路不器用(ちょっとがきあずまのふつつか)」.出演:乳母政岡,松ヶ枝節之助,仁木弾正,絹川与右衛門,足利頼兼,三浦屋女房,土手の道哲,高尾太夫の霊,腰元累,細川勝元(猿之助),八汐(巳之助),侍女澄の江/ねずみ(玉太郎),政岡一子千松(市川右近),妙林(弘太郎),渡辺外記左衛門(寿猿),松島(笑三郎),沖の井(笑也),妙珍(猿弥),渡辺民部之助(門之助),栄御前(中車).
「伊達の十役」は,狂言「伽蘿先代萩」を十役早変わりの芝居に書き直したもの,1999年に先代猿之助のものを見たのが最初で,その後2014年に市川染五郎(現・幸四郎)で見た.
今回はコロナ禍3部制のもとで2時間弱の上演なので,本来のものとは言い難い.それでも「足利家奥殿の場,同 床下の場」はじっくり時間をかけ,猿之助の乳母政岡が堪能できる.床下で松ヶ枝節之助になって登場し,早変わりで仁木弾正として花道を悠々と退場するところも素敵.
しかし後半となると,筋の紹介は狂言回しの妙林・妙珍に任せるが,ゆっくり芝居をする暇はなく踊りと殺陣でつなぐ早変わりショーとなった.これはいささか残念,何時かコロナが治まったら是非通し狂言で見てみたい.
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2021/12/17

番外 独断的歌舞伎感想文:十二月大歌舞伎 第二部 男女道成寺/ぢいさんばあさん

日記:2021年12月某日
歌舞伎座で「十二月大歌舞伎 第二部」を見る.2112_kabukiza_h_a9c5e4b9b4f2bcb15fe666cd
「一、男女道成寺(めおとどうじょうじ)」.出演:白拍子花子(勘九郎),白拍子桜子実は狂言師左近(尾上右近),強力不動坊(橘太郎),同 普文坊(吉之丞).森 鷗外 原作・宇野信夫 作・演出.「二、ぢいさんばあさん」.出演:美濃部伊織(勘九郎),下嶋甚右衛門(彦三郎),宮重久右衛門(歌昇),宮重久弥(尾上右近),久弥妻きく(鶴松),山田恵助(吉之丞),柳原小兵衛(坂東亀蔵),伊織妻るん(菊之助).
男女道成寺は,登場して舞う白拍子の一人が実は男の狂言師と判り,改めてそれぞれが踊りを披露するが,やがて二人は蛇の化身の本性を現すという踊り.右近・勘九郎が引き抜きを交え華やかな踊りを披露する.
「ぢいさんばあさん」は2002年以来10年ごとに見ている森鷗外原作の新歌舞伎.ふとした出来事から同僚を手にかけ,最愛の妻子と別れて謹慎他家預かりの身となった伊織が,37年後に旧宅で妻と再会する物語.
自分が70歳になって見るこの芝居が,これほど胸に迫るとは思ってもみなかった.特に旧宅の無事を喜び大樹となった桜に抱きつく伊織,るんと再会し,愛息の死と互いの苦労をいたわり合う場面に涙を禁じ得ない.伊織とるんは,2002年が勘三郎(当時勘九郎)と玉三郎,2012年は三津五郎と福助であった.この二人の伊織も今はない.「ぢいさんばあさん」は自分にとって特別な意味のある芝居となっている.
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